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2013.01.05

「サイド・バイ・サイド」

デジタルとフィルムについて、映画監督、撮影監督など作り手の人たちの意見を、中立な立場のナイスガイ、キアヌ・リーブスがインタビュアーとなって集めた、珍しい映像。2時間弱の間ひたすら、それぞれの長所短所、技術と芸術への想い、民主的制作と孤高の職人芸について語られる。ネタバレ云々は特にない。

内容的には既に多くが語られているものばかりで、途中少し寝てしまった。小さな劇場で、空調があまりよくなかった影響もあるかもしれないが。

技術論として、様々あった。3D映像はデジタルでなければ不可能という意見。撮影したものをその場ですぐ確認して、多方面の意見を入れながら、撮り直しなどが確実にできる。フィルムカートリッジの10分という制限に縛られず、撮影をし続けられる点、特撮に代わるCG合成の進歩。カメラ機材の小型軽量化が可能にした新たなカメラワーク、撮影の視点。実際、技術的にはデジタルの魅力は多くの作り手を魅了するだろう。

一方、フィルムを支持する意見もあった。クリストファー・ノーランの「黒の深み」こそ出てこなかったが、フィルムの色彩の良さを言う意見があった。現状での解像度の低さも指摘があった。被写界深度はすでにデジタルでも満足できるレベルになっているようだった。高価なフィルムを使うことによる、撮影現場の緊張感の良さを言う意見があった。


総じて、デジタルに否定的な意見の中には、「現状ではまだフィルムの長所に追いついていない」という、技術上の留保付きが多かった。デジタル技術の進歩は速いから、いずれ解消することが予想されている。結局、デジタル技術は発展途上であり、技術の進歩に合わせて使いこなせばよいという、アナログ/デジタル論争のよくある結論のようだ。

しかし、ひとつだけ、重要で本質的な意見があった。デジタルは映画製作のプロセス全般が速い、そして、何でも出来てしまうことが、かえって、どうでもよい膨大な情報量に圧倒されてしまう弊害を招く。それゆえ、審美眼を養う時間を奪う。というのがそれ。インタビュアーのキアヌも、このときだけは「ウヮーオ」という反応。

けれども、これさえも、ネットの情報についてさんざん言われてきたS/N比の問題と同じだ。他の技術的な課題と違って、解決の方向にはいくつかありそうに思えるが、デジタルでは審美眼が育たないとするのは、飛躍的に過ぎるだろう。

もう一点、フィルムを切り張りする編集は、後戻りができないので、決断力を養うという意見もあった。それは多少あるだろうけれど、あまり本質ではない気がした。

結局、特に何か結論づけたわけではないけれど、作り手のそれぞれの立場からの本音が聞ける映像でした。

Pic02

Pic01

Pic03

なお、出演者たちの発言集がこちらにある。

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