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2013.01.13

「LOOPER」

これは近年稀な良い映画。タイムマシンものは基本的にネタバレできないから、面白さを伝えにくいけれど、この作品は、見た人のクチコミで十分良さが伝わるだろう。以下ネタバレは読んではいけません。

* * *

現在の自分と未来の自分。30年という人生の時間を隔てた二人の、護るべきものが異なっていたとしても、当然かもしれない。若い時に考えていたことと、年をとってからの考えとは違っていてあたりまえだ。その当たり前を、こうしてまざまざと見せられると、感じるものがあると言わざるを得ない。作中の主人公は若者の方だが、むしろ年配の観客に対して自省を迫る、恐ろしい作品。その恐れは、ラストのクライマックスで頂点に達して、結末で強い印象を残す。

お話の主軸を離れて、タイムパラドクスについても、ナイスなアイデアが盛り込まれている。過去を変えることで未来が変わるのは、このテーマの常道だが、変わるものはそれだけではなかった。未来の自分は過去を知っているのだから、駆け引きにおいて圧倒的に有利なはずだが、その安直な思い込みを打ち破るアイデア。これ以上は言えない。


現在と未来の自分の葛藤が、この作品の主たるテーマだが、おそらく、もうひとつのテーマが慎重に隠されている。一度悪に染まると、罪を贖うことは絶望的に困難だ、というのがそれだ。もちろん、微かな希望を取り上げる作品も世には多いし、本作も最後までその基調を守りとおしている。その果てに、あの結末。泣ける。
彼が、あの特徴的なラッパ銃で、何度も、何度も、何度も、撃ち続けていたものが、本当は何だったのか、観客は最後に思い知ることになる。

未来的な要素を少しづつちりばめて現実感を薄め、乾いた感じを通奏低音としながら、主人公の哀しい軌跡を辿る味わいが、とてもよい。涙はとうに枯れて、行動はリアリストのそれを忠実になぞるのだが、それでも悲しみというものはある、とでも言うか。

主人公の絶望と希望が複雑に入り組んで、その末に選んだ、たったひとつの冴えたやり方に胸を突かれる、そういう一本。

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