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2012.12.01

「007 スカイフォール」

シリーズをたくさん見ているわけではないので、どう言えばいいか難しいが、この作品は、これまでの007映画とは、ずいぶん違うという印象を持った。途中からは、想像もつかない展開になり、驚くべき結末が待っている。
以下ネタバレは読まないのが吉です。

 

始まりからして異様だ。ボンドは重要なミッションに失敗し、味方に撃たれて死ぬ・・殉職として処理されるところから始まる。もちろん死んではいないのだが。

さらに、ボンドガールというものが、今回はあっさり、ナニする。この理由は、なんとなくわかる。今作の真のボンドガールは、実は「M」なのだ。ジュディ・デンチ貞操の危機(違)。

また、国家間の争いとか、大陸間弾道弾とか、狂信者とか、そういうものが出てこない。Mに対する私怨と愛憎を基調にした話になっている。いや、より正確には、Mが体現している、保守的な価値観、英国紳士の伝統的な在り方に対する姿勢か。

ギークな秘密兵器や、グラマラスな美女や、虚栄に満ちた社交、そういった、これまでのチャラいボンド映画が表してきたものを正面から全否定している点で、ボンド映画としてはとことん変だが、これはひとつのけじめなのだろう。MI6の体制も一新して、新たな007シリーズを始めるための。


相変わらずアクションはナイスだし、アストン・マーチン登場の場面もよい流れだし、新しいQと007の初めての会話も思いっきりキザだし、敵方の美女を落とすときの、ダニエル・クレイグが作った表情は絶品だ。だが、ただ一点、これまでと異なることがある。

ボンド映画の、ある種の象徴であるアストン・マーチンを、無機的な武装ヘリに木っ端みじんにされて、ボンドは激怒するのだが、その一方で、同じく古い殻である自分の出生の家を、”こんなもの!”と叫んで跡形もなく吹き飛ばすのだ。捨てるべきもの、残すべきものは、それぞれ何か。

そして、Mは。
そう、Mだ。この映画の鍵は。

彼女は、審問会の場で、衰えた体に鞭打ちながら泥臭く必死に走るボンドを思い浮かべつつ、大臣に向かって、一言一言に力を込め、ジョンブル魂の真髄を説く。

それだけで十分。言う事はなにもありません。

Pic12_2

ハビエル・バルデムは、「ノー・カントリー(for old men)」のときの不気味な存在感が記憶に残っているけど、今回は、チャラい方のボンド映画像を写す鏡の役回りで、ちょっと貧乏くじだった。この次に期待。

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