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2012.09.17

「鍵泥棒のメソッド」

基本はどたばた喜劇。思わずにんまりしたり、大笑いしたり、ふと考えさせられたりで、2時間たっぷり楽しめる。面白いというほかない良作。ぴあの出口調査につい勢いで90点と答えてしまいました。この役者を揃えてこのストーリーで、面白くないわけがない。少しデフォルメしたキャラクタたちがそもそも笑いの種。それを組み合わせたり配置したりするストーリーが笑いに油を注ぐ。以下ネタバレ。

売れない役者がやくざを騙すという笑いとスリルの構図は、佐藤浩市主演の「ザ・マジックアワー」と共通する黄金パターンだが、この「鍵泥棒のメソッド」の方がより現代的で、いまの気分にしっくりくる。前者が、真面目さが一本通った暑苦しいロマンティシズム(たぶん)であるのに対して、後者は一筋縄でいかないリアリズムを感じさせる。例えば、やくざへの対処において、騙しが効かないと見るや最後にあっさり方針変更し、警察というより強力な暴力組織をかちあわせて一目散に逃げるあたりのスピード感と現実感覚に、いま風の納得感が漂う。何かを絶対視しない変わり身の早さ、二重三重の幻惑とでもいうか。

この相対化の感覚は、他の点にも表れている。「ザ・マジック・・」が、役者人生そのものを副題にして、真っ直ぐに話を進めるのに対して、この「鍵泥棒・・」は恋愛をテーマにしつつも、恋愛についての様々な見方を提示して結論は出さずに放置する。最後のシーンで、相思相愛の二人がひしと抱き合うシーンがどう演出されているか。映画館で是非観て、にやりとしたいところ。たいへん・よく・できました。
ここはもちろん笑うところだが、もし多少の羨望を滲ませているように見えるとしたら、それは受け取る側の問題だろう。


正真正銘、不確実性の時代に深く入り込んだ今の気分を、なにかと反映して共感できる一本、というと大袈裟すぎるでしょうか。

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