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2012.08.18

「THE GRAY 凍える太陽」

リーアム・ニーソンが主演というのはあまりないとは思うのだけれど、この映画であれば確かに彼が適役かもしれない。何か心に抱えている人は、見て得るものがあるかもしれないが、一般向けとは言い難い。以下ネタバレ。


最近はどの映画館も、上映前に携帯を切らせるために、本編映画のシーンを切り張りして、台詞を後付けし、携帯の電源を切れメッセージを面白おかしく発信する。最初にうまいなと思ったのは北野武の「座頭市」バージョンだった。「まだ・・斬ってない奴がいる」というアレだ。古すぎて誰も覚えていないか。

この THE GRAY のバージョンもなかなか秀逸。墜落した飛行機の事故現場で、けが人をゆすったり、死体のポケットをまさぐったりしながら、「携帯鳴らしてるのどいつだ、お前かっ!お前かーっ!」と、リーアム・ニーソンが鬼のような形相でやっているので爆笑。それで、見てみようと思ったのだった。費用もかからず、なかなかうまい宣伝だ。

映画本編は、サバイバルものの一種。見るのは久しぶり。あまりにもシンプルなストーリーで、サバイバルゲームのような陰謀や政治などの人為的なものは一切入らない。純粋に、自然の猛威の前に、風前の灯となりながら、メンバーが力尽きて次々倒れていく場面をひたすら描くという、どう楽しんだらよいのか難しい一品。GRAYが何を指すのかは始まって程なくしてわかる。

メンバーそれぞれの死に際に、様々な想念がよぎるのを、ひとつづつ丹念に看取っていく、という見方が多分いいのだろう。怪我や病気、事故などで、誰もが望まずに死んでいく中で、ひとりだけ、痛めた足が動かせなくなって、自ら死を受け容れる男がいた。まだ歩ける者たちと、座り込んだこの男とのやりとりが、この映画のひとつの見どころといえば、そうだ。人間、時には諦めも肝心。しかしまた、主人公のように全力で抗うのもよし。それを象徴しているのが、作中に何度か登場する4行詩。

ところどころ凝ったつくりを感じさせるが、いずれにせよ、あまり一般受けはしないだろう。好き者は我慢のつもりで見てみるのもいいかもしれない。


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