上野界隈散歩120825
ヘルメットのシールドをそろそろ交換しようと、上野へ行ってみた。20年くらい前は、国道4号沿いにバイク屋が軒を連ね、首都圏各地からバイク乗り達が集まってきていた。ちょうど、お洒落気分を味わいたい関東圏の若者たちが原宿に集まってくるようなものだ。
原宿の方はいまでも盛況だが、こちら通称「バイク通り」は、いまでは見る影もない。ほとんどが店を閉め、何の変哲もない国道沿いの風景に回帰している。数軒だけ、専門店などがかろうじて残っているだけだ。
そのうちのひとつ、ヘルメット専門店へ今日は来た。
私のヘルメットは、マイナーなメーカーの製品なので、普通の小規模なバイク屋だと、まず置いていない。が、さすが往年の専門店街の生き残り。店の人はちらっと見ただけですぐに、「ああ、ありますよ」と出してきてくれた。やれありがたい。
その場でシールドを交換して、視界はクリア、気分一新。
その足で上野の東京都美術館へ向かう。
* * *
フェルメールが目当ての人で朝からたいへんな混雑だ。入場まで30分待ちだとか。
しかし、私の今日の目的は、「Arts&Life:生きるための家」展の方。
応募作はいずれも、パネル1枚と机に載る大きさの模型だが、そのうち最優秀賞の作品を、実物大で作ったのが、この写真。これが、実にいい空間。もちろん、床が傾いているなど実用性はないのだが、にも関わらず、居心地のよさそうな空間というのはある。木陰の芝の斜面で、微妙な起伏で風景から見え隠れしているとか、ね。「見え隠れする」という表現はM先生の受け売りだけど。
最優秀作ですぐに目につくのは、便器、バスタブ、ベッドの3点。これは人類始まって以来、とまでは言わないが、文明人には必須の設備。この展示会は、実施設計を考慮した提案と違って、自由な発想をむしろ求めていると思うのだが、にも関わらず、これらの設備要素を配置した提案には、リアリティが感じられる。このコンセプトのまま実作をつくっても、十分住みこなせると思わせる。もちろんその陰には、この提案者の確かなスケール感があるのは、言うまでもない。
その基本をおさえた上で、Artな空間だ。
なるほど、これは最優秀に十分ふさわしい。
30年くらい前に、住宅といえば、例えば最小限住宅だとか、あるいは工業化住宅だとか、真面目で、ある意味つまらない提案が多かった気がする。ところが、この展示会場に並んでいる、「Art&Life」の提案の、無駄の多さと楽しさはどうだろうう。こういう時代になってきたことが、なんだかとても嬉しい。我々はこれを、あたりまえのように享受しているけれど、世界のたいがいの地域は、必ずしもそうではなさそうなのだ。
幸せとか贅というのはまさにこのこと。
ほかにも、いろいろ触発される作品が多かった。600円という値段以上に楽しめる、改装東京都美術館のこけら落としにふさわしい展示会。
改装といえば、美術館の改装前後を比較する模型も展示してあった。
雁行するエントランスアプローチが面白かったのだが、右側をフラットにしてしまったため、やや味気なくなった。展示空間を拡張するためとはいえ残念。
* * *
昼飯をデリーで食べる。
こんなに和風の味付けだったかなあ。。あまり妥協してほしくないのだが。
二天門の交差点あたりは、出発点の手前になり、リハなどやっている。その分、人混みは多少緩いので、後から寄ってもなんとか見られる。今年からはスカイツリーも、カーニバルの新しい風景になった。
天気のよい一日だった。
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 「街とその不確かな壁」 (2023.05.09)
- マクドを胃腸がうけつけなくなった(2015.08.30)
- 雑記150820(2015.08.20)
- 雑記150727(2015.07.27)
- 150704鎌倉散歩(2015.07.04)
Comments