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June 2012

2012.06.30

「ネイビーシールズ」

本物っぽいいろいろが出てくることを除けば、ストーリーとしてはステレオタイプ。でも本物らしい部分に集中して見れば、これはそれなりに迫力ある映画。以下ネタバレ。

冒頭がすごい。テロリストに囚われた諜報員の救出作戦が描かれるのだが、のっけから、精密に組み立てられた隠密作戦と、露見後のがちんこ銃撃戦の迫力を味わう。隠密部隊はテロリストと同等程度の火力しか持っておらず、作戦の緻密さで初期の目的を達成するも、撤退するところを新手のテロリストに捕捉されて窮地に陥る。絶体絶命のピンチで川に飛び込む特殊部隊の車の向こうから現れるのが、あらかじめ綿密に連絡をとりあっていた支援部隊のボート。これの機関砲が火を吹いてたちまち形勢逆転というにくい演出。実際にはもっと隠密裡に撤収完了なのだろうけど、映画だし、これはこれで。

ここで露になるのが、テロリストが持っている普通の銃と、軍が運用している重火器との段違いの威力の差。軍のボートに搭載されていたのは、銃というより砲と呼ぶ方がいいのだろうけど、これの火線がもう酷いというか非人道的というか、シャツ一枚でわらわら集まっているだけのテロリスト(というか麻薬密売業者の用心棒)たちが、かわいそうになる。君たちもう許すからはよ逃げなさい。あんなものに素肌でまともに向き合っちゃいかんだろ。

その昔、ロシアの皇帝が、はじめて機関砲というものの試射を見たときに、「このようなものは人間に対する冒涜である」とかなんとか言って採用を却下したそうだが、その心境に深く同意できる。

とまあ、冒頭に戦闘シーンのハイライトを詰め込んであるわけだが、実はこの後が本当の問題部分。探知できない自爆用爆発物を巡る闘いになるのだが、戦闘の迫力は冒頭ほどでないものの、こんなニュースを見るとぎくりとする。
アルカイダ「検知不能」爆弾の脅威

なんだか、世界のあちこちでは、わしらの想像もつかないようなことが、実際に行われているのね、ということが、うっすら感じられて寒気がする一本でした。

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120626入院のことなど

新しいバイクを買うかどうか検討するために、レンタルバイク屋で借りてちょっと走ってみた。それが今回の入院の遠因といえばまあそうだ。

発売されたばかりの新車なので、レンタル屋でも、新品でしょと自慢される。けれども、乗り慣れている人なら承知のとおり、それは新品タイヤの皮が剥けていないことを意味する。

最初は慎重に、小雨の中を安全運転で首都高から東名へ抜け、厚木から宮が瀬湖への慣れたコースでいく。スペック上のパワーは、今乗っているものよりもかなり小さいのだが、空冷と水冷の違いなのか、技術の進歩なのか、乗り心地は遜色ない。高速での万一のときの加速も余裕がある。

結果に満足したので、道志道へ至る手前の青根のスーパー銭湯で汗を流して帰路につく。帰りは宮が瀬湖から秦野へ抜ける方の峠道をいく。
こちらは、神奈川県内としては比較的整備されておらず、オフロードタイプを試すにはよい道。すこし脇へそれて砂利のあるところを走ってみたりいろいろ試す。フロントのひらり感は、空冷に比べて少し劣る感じがするが、それでも、主用途がキャンプのための移動手段という自分にとっては、十分すぎる性能だ。これであの低価格は嬉しい。買いだな。

かなり乗りこなせてきて、後ろタイヤは十分皮がむけたようでもあり、ちょっと油断があった。山道ももう終わって里に下りてこようかというあたりで、少しだけ攻め込み過ぎて、前ブレーキを少しだけきつく握ってしまい、霧雨で濡れた路面上で前輪ロックして転倒。

大反省。
5年間無事故無違反の安全運転だったが・・。

何人か通りがかりの親切な人に助けてもらいつつ、後始末。バイクは、幸いプラスチックのカバーが擦れた程度。水冷だが案外打たれ強いようだ。ロードサービスを使ってレンタル屋さんの修理工場に直送。迷惑掛けてすみません。自分は電車で帰宅。保険を掛けておいたのは不幸中の幸いだった。不謹慎なようだが、何度かこけてみないと本当の限界はわからない。今回、機体の頑丈さが確認できたのは収穫。

翌日、腫れがひかないので、一応救急車を呼ぶ。日曜なので、これ以外に診察を受ける手段がない。4箇所ほど救急隊員がCALLしてくれた後、受け入れ先決定。電話は1箇所づつ掛けて、症状について同じ内容を口頭で伝える。断られては次の病院へCALLを繰り返す。結局これに40分ほどかかった。所定のフォーマットに入力して10箇所くらいに一斉送信の方がよさそうにも思うがどうなんだろ、と罰あたりなことが頭をかすめる。救急隊のチーフらしき初老の男性に、本当はちゃんとした整形外科へいって診てもらうのがいいんだぞ、と真顔で諭される。ありがたい。

救急隊のお蔭で、どうやらちゃんとした病院が見つかったようだ。15分ほどで高輪プリンスの向かいにある閑静な地区の病院に到着。レントゲンを撮って、鎖骨骨折を確認し、ショルダーハーネスで胸を反らすように固定して、この日は家に帰る。

* * *

数日後、救急担当ではない、整形外科の正規の医師に診てもらう。このまま自然にくっつくのを待つのがよいとのことで、姿勢は不自由だが、ハーネスをはずさず、1週間経過。2度目の診察に行くと、今度はCTというものを撮る。この画像が3Dで表示されて感動。こんなにはっきりわかるんだ。
んで、はっきりわかった結果、手術ということに。折れたうちの短い方が変な角度になっているうえに、割れているということが、CT画像のおかげで素人目にもすごくよくわかった。入院はさらに1週間後ということに。

幸い、不思議と痛みはないので、その間に仕事の区切りをつけるべく激しく働く。ハーネスで引っ張られているのと、折れたところを庇うために、肩や背中の筋肉を始終緊張させているので、ひどく疲れる。
が、ハードワークのかいあって、対外的にも一区切り。これで20日程は放っておいても大丈夫。ちょうど区切りに向けた追い込みのタイミングだったのも幸いした。

入院は1週間の予定。

* * *

入院初日は何もすることがない。それをよいことに、仕事場のパソコンにVPN経由でリモートログインしてちょっとした作業や指示出し。他の人が病院の浴衣姿で思い思いに休んでいる中でキーボードをひっきりなしに叩くこの違和感w。持ってきたローカルの端末の性能がよくないので、ちょっと勉強がてら試してみようと思っていた負荷の高いプログラムは諦める。

ここは、食事がすごくいい。例えばこんな感じ。サーモンのサラダ、肉じゃが、ソーセージの大きいの、インゲンの白胡麻あえ、オレンジ、味もいい。
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エレベータには、こんなポスターが。病院食のレシピ本を出しているらしい。
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入院など初めての経験で、病院食のまずさや量の少なさはいろいろ聞かされていたから、これは嬉しい誤算だった。

* * *

翌日、手術。首の近くなので、全身麻酔。眠っている間に全部終了。腕はいいんじゃないか。助かった。術後一日は、点滴で栄養補給と、尿道に入れたカテーテルで用足し。こういうのも初めての経験。

二日目あたりから、カテーテル、点滴の順ではずしていく。傷口は大きいが綺麗に閉じられている。腕のむくみがまだとれず、ずっとうつらうつら寝ている。

三日目の朝は、快調。むくみも収まりはじめて、普通に歩ける感じ。体温が微熱レベルで推移しているが、術後3、4日はそれが普通だそう。

4日目、退院に向けた準備。ちと外出して、家の郵便物を回収ついでに映画を見る。

5日目に退院。

* * *

幸いにして大事に至らず、もともと健康体だったこともあって、今回は乗り切った。そうはいっても、全身麻酔手術は結構な体力を使うようで、なるべくそんな羽目にならないよう自重したい。

入院3日目にネットで7日後に震度6~7の地震が来るような記事を見かけた、その日の東京の夕日。
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地震来るんかなー。


映画などで、寝台に寝かされていた登場人物が、点滴の針を引きちぎって脱兎のごとく駆け出すシーンなどがよくあるけど、今後は少し割り引いてみることにしよう。あんなことしたら結構痛いと思う。w

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2012.06.24

「ワン・デイ」

アン・ハサウエイ主演の甘酸っぱい恋物語だろうかなと思って見に行ったら、はっとさせる結末と、幸福についての深い洞察が垣間見られて、ついでに少し泣ける、なかなかよい映画。同名の原作小説はベストセラーというのも頷ける。ネタバレは無しにしたい。

アン・ハサウエイは、冴えない女の子が何かの切っ掛けで美しく輝き出すという変身がとてもうまい。ひょっとすると、素ではもっさりした人なのかもしれないと思うくらい。この映画では、どんなとき、どんな経緯を経て彼女が輝くかをはっきり表現することが必須なだけに、役柄としてはぴったり。

一方、同じくらいに、いやそれ以上に、相手役のジム・ハージェスの変化も重要。普通の恋物語では、女性の方に光が当てられて、男は画一的で浅い描かれ方をすることが多いようだけれど、この作品では、男の方にも重きを置いている。彼女の家族の話はほとんど出てこないのに対して、彼の家族についてはしっかり描き込まれていることから、男の描き方に取り組む真剣さを窺わせる。

それ故この映画は、単なる色恋のお話ではなく、人生と幸福について考えさせる深みを持つことができた。主人公(男)の冴えない恋敵が、エピローグの中で云う台詞が名言。涙が止まりません。是非映画館で確かめたい。

背景に流れる音楽が控えめなのも好感が持てる。単なるロマンス一辺倒な作品ではない。むしろ優れた台詞で感情を紡ぎだしている。これは原作からそのまま持ってきたのだろうか。

女性だけでなく男性が観ても得るところ大な映画。一人でもOK。カップルで観に行けば尚良。

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2012.06.16

「スノーホワイト」

何という金の掛かった大掛かりな学芸会! 父兄を代表して感涙に咽び泣きました。王子様のキスは、そんなのじゃだめ。効かない。本物のキスはこう。というお手本も見せてもらえて、勉強にもなる(笑)。女王の敗北の本当の理由をいろいろ考えてみると楽しめそう。原作のことは考えないのが吉。以下ネタバレ。

前半は、シャーリーズ・セロン演じる女王が圧巻。独壇場といっていい。成り上がりで孤独な権力者の貌、話法を、短い時間の中で存分に見せてくれる。

お話が移っていくにつれて、クリステン・スチュワート扮する姫が徐々に存在感を増していく演出もうまい。人によっては、この映画ではシャーリーズ・セロンが断然勝っているという意見もあるようだが、ベラも負けていません。この人は苦悩の表情が少し過剰で、媚に見える時があるけど、この映画ではそこをうまく使っている感じ。アメリカーンな若者達にはあの媚がたまらんのだろうなあ。(笑)

これだけ実力十分の俳優さんを揃えたにもかかわらず、微妙に学芸会に見えてしまうのは、たぶん、後半から終盤のテンポが良すぎるから。もう少し間が欲しいところで、はいはいお約束という進行係の声が聞こえてきてしまいそうな淡白さは、ちょっと残念。終盤の対決の場面で女王はもう少し悪あがきしてもよさそうだが、案外あっさりやられてしまう。

とはいえ、直接対決のアクションシーンでの淡白さは、考えてみると当然だった。なぜなら、それより遡ること数日前の、毒林檎の場面で、本当の勝敗は既についてしまっていたからだ。その後は、敗北が決定した女王の一直線の凋落のお話に過ぎない。さて、女王は何を間違えたのか。

白雪姫に毒林檎を食べさせるのは、原作では林檎売りということだが、この映画では、王子に化けた女王になっている。恋する相手に勧められれば、すんなり林檎を口にするだろう。女王はそう考えたに違いない。

この映画では、姫の周囲に二人の若い男が登場する。姫の心を本当に掴む妻と死に別れた猟師と、単に幼馴染で身分も近いというだけの王子だ。姫はどちらに恋してもよいシチュエーションだが、本心がわかるのは闘いが全て終わった後になる。

女王が、白雪姫に林檎を食べさせるために変身したのは、王子の方だった。考えてみれば当然だ。身分も経緯も彼の方がふさわしい、と思える。それが、権力者である女王が見通せずに犯した決定的な誤りだった。

本心から望む相手ではない者に勧められた毒林檎を、一時の気の迷いで口にして、倒れる姫。おっとり刀で駆けつけた王子の付け焼刃の接吻などで、生き返るはずもない。遺骸として城に運ばれ広間に安置されて、周囲に誰もいなくなった夜、猟師が一人で現れ、はじめて自分の物語を打ち明ける。苦悩と悔恨に満ちたひとり語りの最後に、「別れの」接吻を姫に施して立ち去る。

ひとり広間に遺された姫の遺骸。じゃじゃーん。姫どっきり。お目覚めです。

命の源であり、癒しの化身である姫には、森に暮らす猟師の溢れる生命力と死すべき生き物の哀しみとが、ぴったりマッチするのだ。身分とか献身とか世俗の制度に乗っかった王子とでは勝負にならない。女王はそこを見誤った故に敗北したのだった。本当の相手を見出して復活した姫に敵うわけがない。

というわけで、このお話は、純真な姫君と意地悪な継母の確執とか、若さに敵するものなしという真実とかの教訓ではなくて、姫の恋の成就のお話なのでした。観客の好みに合わせて、うまく主題を差し替えた脚本に敬意を表したい。

大団円ラストシーンなどは、ほんとに学芸会の雰囲気で、好感が持てます。これはクリステン・スチュワートの「わざとらしい」演技と、おなじくそれとわかるようなマット絵(たぶん)の賜物。気楽に見るのにたいへんお薦めの一本。

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