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May 2012

2012.05.27

「MIB3」

「スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮」という謳い文句はちと大袈裟だろうと思っていた。「MIB」はそれだけで立派なブランドだろうにと。けれども、見てびっくり。なんだろうこのエンディングにかけての切ない味わいは。

シリーズ3作目にして、ありがちなマンネリを見事に回避したどころか、むしろ娯楽作品として一級品に仕上がった。スピルバーグの力なのかどうかはさておき、ゲテモノすれすれがウリだった素材を、さっぱり上品にまとめてしまった力量に、素直に感服しました。後半で登場した、鍵をにぎる風変りな異星人の存在が大きい。特にネタバレはなし。


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2012.05.20

「ダークシャドウ」

たぶん、英語がもっとわかれば、より楽しめるのだろう。浦島太郎なヴァンパイアが現代に蘇ってお家再興に奮闘するコメディタッチのソープドラマ風。以下ネタバレ。

キャラクタが、とってつけたように変人揃いなのは、原作がTVドラマだからだろうか。毎週放映のような背景で、ネタ枯れに備えている印象。映画では、キャラクタの多彩さが、かえって仇になったような気もする。

主人公の台詞の言い回しは、きっと古風な味付けなのだろう。服装も見るからにそれ風。ロンドン風ということになっているのはTV放映当時の英国に対する風刺だろうか。その古風なふるまいとものいいの中に、現代っ子のおしゃべりから覚えた単語が混じるのがおかしい。例えば検非違使を演じる中井喜一が、烏帽子装束で覚えたての単語「おっぱい」を会話の中に織り交ぜて、真面目にどや顔すれば、これは笑う。たぶんほかにもいろいろあるのだろうが、英語力が足りなくてよくわからなかった。

魔女役のエヴァ・グリーンは、モデルさんだけあってすんごい。美しい女は怖いのだ。主人公は一応無敵のヴァンパイアのはずだけれど、いろいろ歯が立ちません。ジョニー・デップはそういう役どころがよく似合う。結局この魔女を倒すのは、別の人。何百年も生きた魔女が滅びるときは、急激に老化してというのがお約束だけど、ここでは少し違う滅び方をする。このあたりは見てのお楽しみ。

全体にとりとめのない仕上がりだが、問題提起の芽は随所にある。家庭教師の生い立ちとか、義父のコソ泥根性とか、安産型のナニであるとか。そもそも全トラブルの発端は主人公の浮気症であるわけだし。これはエンディングではっきり示される。

たくさんの指摘はあったけれど、これ一作だけでは消化不良か。「パイレーツ・・」のような連作に持ち込むことをイメージしているかもしれないが、少々難しい気もする。

クリストファー・リーがちょい役で意外なところに嵌め込まれている。なるほどこれはそういうコンテクストの映画なのかな。

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2012.05.13

「裏切りのサーカス」

ゲイリー・オールドマン。「レオン」で印象的な敵役の悪徳刑事を演じた人。でもこの作品では全然違う印象。それを見るためのような映画。以下ネタバレ。

冷戦時代のスパイというものが実際にどんな活動をしていたのか知らないので、「リアル」なスパイ映画と言われても、そうなの?というくらい。MIシリーズとか007シリーズみたいに鉄砲振り回すのはつくりものだとわかってはいても、では実際はというと知らない、というのが本音。

謎解き映画かといわれると、敵を割り出すロジックと手法は、結局、案外単純だった。情報組織の幹部がほぼ全員、敵方とつながっていたというオチは笑えないが、情報組織なんてものは、金ばかり食うが実際はそんなものという英国流の皮肉だろうか。でも大英帝国を支えた力は、世界に広がった情報網が源泉だったそうだから、Intelligenceを馬鹿にしてもいけない。

エンディングで、主人公が諜報組織の長の席に座るのにあわせて、BGMのおわりの拍手が重ねられるのは、しかしやはり、最大級に皮肉っているとしか見えない。そういえば、他の幹部4人は処分されたとしても、「コントロール」の疑惑の5人のうちの最後に残った彼自身は、本当はどうなのか、何も明らかになっていない。

というわけで、疑いだすときりがない、変な映画。何か重要な点を見落としたのだろうか。

そういう不安に応えてかどうか、シャンテでは、2回目を見るときは1回目の半券を持っていくと千円でいいそうです。

そうそう、スパイといえども私生活はいろいろあって、というところが、少し本物っぽい。にもかかわらず、描写が少し絞られすぎてわかりづらい。東欧で殺されかけた諜報員が、最後に幹部の一人を狙撃したところで涙を流す理由などは、それを窺わせるシーンはたしかにあったものの、こちらの腹に落ちるような説明はない。主人公の手足となって業績をあげた若手が、探索の途中で同居人の身を案じて別れる台詞なしの一連のシーンなどもそう。

スタイリッシュと言うべきなのかもしれないが、観る側はそれらの背景を想像で補って、なおかつ謎解きにもついていかなければならないので、少し忙しい。

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2012.05.11

「ドライヴ」

「ヴァルハラ・ライジング」と同じ監督の作品。二週続けて同じ監督の同じような作品を見た。怒りと憎悪に暴力を添えているところは似ている。「ヴァルハラ~」が古武士の一生のように見えるとすれば、こちらは、洋ものの任侠映画と呼んで差し支えないだろうか。あるいは、前者を、子どもを護る漢のお話とすれば、後者は、女と子どもを護る漢のお話かもしれない。

主人公は堅気ではない。それが、普通のチャーミングな既婚女性に惚れ、そのまだ小さな息子との、ささやかだが平和な暮らしに憧れ、そのやくざな亭主を助けるために、暴力組織にひとり立ち向かう自己犠牲のお話。そういう筋が見えれば、わかりやすい。「疾走する純愛」とは言い得て妙。以下ネタバレ。

「ヴァルハラ~」の主人公は、はじめ憎悪によって駆動されていたが、こちらの主人公を突き動かしているのは、むしろ怒りと呼んだほうがいいかもしれない。この町に来る前にも、その怒りを抑えきれずに、やくざ組織と事を構えたのだろうことが、うすうす感じられる。その怒りは限度を超えて、ときに狂気のように発動する。それを、惚れた女に見られたあたりから、主人公の勝手な自己犠牲精神は盛り上がる。このあたりが、任侠と感じる所以。

男にとってはちょっとかっこいい映画かもしれないが、女の観客にとってはどうなのだろう。強くてかっこいい男に惚れられた女性は、はじめはまんざらでもないだろうが、黒い狂気を見てしまったあとは、かっこいどころではないかもしれない。

承知の上で、割り切って男向けに作ったであろう、潔さも感じられる作品でした。

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「ヴァルハラ・ライジング」

1か月ほど前に見て、書くことができずにしばらく寝かせておいた。これをスタイリッシュな暴力とする評価があるらしい。確かに手加減のない暴力シーンや、象徴性の強い映像が埋め込まれてはいる。しかし、この映画は精神性の要素がより大きい。最小限に削られた台詞と、見る者を掴んで離さない力ある映像とともに、込められたメッセージが見逃せない。おそらく、観る人に応じて異なる見方があるだろう。以下ネタバレは読まずに観るのが吉。


古武士の趣を持った主人公の一生を、暴力と憎悪に始まって、宗教と関わり、狂気を経て自由へ、そして最後に生の意味を見出すまで、順を追って描く。ただそれだけなのだが、男の一生というものは概ねこんなものではないかと思える。

だいたいが、男の子の人生は、最初は親の束縛を受けながら、他人と競争することから始まる。現代ではそれはソフィスティケートされているが、それでも他人に勝つことで生き残る練習という側面は否めない。同時に、自分にそうした生き方を強いる世界に対する憎悪を生む。

長じれば、彼は一応の自由を手に入れるだろう。闘いの中で身につけた業が自由の支えだ。そしてどこかで彼は、宗教に出会うだろう。身に付けた業はそのままに、宗教というものに何らか救いを期待するのだろうか、行動を共にする。

しかし、宗教も一皮むけば、世俗の権威と何ら変わらない。そのことは、騎士団との最初の出会いのときに、裸で鎖に繋がれた奴隷たちの絵ではっきり示されていた。袋小路の狂気の中で、救いはないことを悟った後、離脱によって自由を取り戻すが、宗教が振りまいた敵意が、ヒトの形をとって彼を取り囲み逃がさない。

もし、彼が初めの頃のように、憎悪によって駆動されていれば、再び一人で切り抜けたかもしれないが、彼の内面は変化しており、憎悪ではなく別の真理に従って、あるべき結末を迎える。


ひとの一生は、つまるところ順送りであることを、寡黙な映像で、最後の瞬間までそれと悟らせないように、巧みに描いたといえる。

ちりぢりになった宗教騎士団の生き残りもわずかとなって、それぞれの人間性が露わになるシーンが印象的だ。統率者の無二の友であった僧侶は、息子たちを死なせてしまったことを悔い、彼らを旅にいざなったことを悔いて、死に方が問題なのだとつぶやく。

死に方の問題。それを、まさに主人公が最後に示すことで、この映画は観る者に強い印象を残す。思わず襟を正させるような、見事な終わり方の一本。

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2012.05.09

図書館とTUTAYAの提携話の件

あんまり情報収集せずに、まず思うところを書き飛ばしてみる。


1.利用者の自主的選択に任せる考え方

借りた履歴情報の提供をするかしないか利用者が選べるようにしたらいいのじゃないかと。単純にそれだけの話のような気がするけど、なんでこんな騒ぎになってしまっているのだろう。

個人情報提供によって、個人の側にはメリットとデメリットの両方が発生するのであって、差し引きプラスかマイナスかは個別に判断することであるように思います。

技法として、オプトアウトかインかというのは、その次の枝の話。


2.ガイドライン遵守を事業者に義務付ける考え方

もっとも、履歴の提供と引き換えに得る利便性の魅力が、普通の人にとって非常に大きくなって、思想信条の自由と引き換えにしてもよいとするような風潮(日本的に言うと「空気」)が生まれ、思想信条の自由を保持する自由を奪われたくない個人が生きにくい世の中になる事態は起こり得る。

そうした「空気」の増長を抑制するためにこそ、事業者に対してプライバシーの尊重を義務付ける考え方があるのだと、勝手に解釈していますですはい。これは、個人に対して非人道的に振る舞い得る社会(多数の暴力)というものから、個人を護るための予防装置。


3.事業者に対する距離感

もう一点、自分の読書の嗜好を握らせてもよい相手を選ぶ自由は確保したいところ。 Amazon に知られるのはかまわないけど、TSUTAYAに知られるのは嫌だ、という感じ方はあると思う。
ましてや今回は、公共の図書館だから読書歴はだれにも知られることはないと思っていたのが、いきなり民間の事業者に引き渡され、これでもかとばかりに営利目的で利用されるというのだから、それは反発も起きるだろう。団鬼六の文学的技法の研究のために借りた履歴は間違いなく消去してもらいたい。

* * *

私の結論は、いまの状況からは、1で当面はいいかなというくらい。
あんまりひどくなるようなら、2に鞍替え。

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2012.05.05

120503山陰行記

最終日。東京まで飛ばすぞと思ったものの、地図を見ると途中に有馬温泉が。せっかくの機会なので寄ってみることにする。

来てみると、ちゃんとした温泉街だ。神戸市街に近いのでもっと現代風なものを想像していた。距離的には、例えば横浜の戸塚あたりにあるような感覚なのだ。この違いは、六甲山の存在が大きいのかもしれない。関東平野にはそういうものはあまりないから、温泉といえば、北関東か箱根方面まで行かなければならない。
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日帰り湯として金の湯、銀の湯がある。金は主に薬効か。銀は二酸化炭素泉で血行がよくなる。どちらもよく効く。
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太閤の湯殿館という展示施設がある。年表を見ると、地震の影響で湯温が変わることが記録に残っているらしい。阪神大震災のときはどうだったのだろうか。
館の裏手に泉源がある。
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ここのもうひとつのウリは炭酸水。それを使って焼いたという炭酸せんべいは、普通のゴーフレット。あちこちで売っている「てっぽう水」という瓶詰めサイダーは炭酸がかなりきつい。これとは別に、本来の炭酸泉があって、試飲できるようになっている。
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有馬の特徴は、なんといっても都市圏に近いことだろう。草津のような湯量でもなく、別府のような種類の豊富さでもないが、都市に近いということは得難い利点だ。

さて、高速にもどってひたすら東へ。大津SAで休憩。琵琶湖が見渡せる。
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新名神というのが出来ているので、そちらを使う。刈谷SAには観覧車がある。土産物のお菓子をバラで売っていたり、揚げ物屋の特徴的なメニューなど、いろいろ工夫が見える。
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帰りも再び新東名へ。関東は霧雨に包まれている。雨を追いかけるように走る。
清水SAには、車やバイクの展示。バイクの展示は、バイクウェアのクシタニが管理しているそうな。
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駿河湾沼津SA(上り)はマスコミでも取り上げていたデザイン。2階建て鐘楼付き。イクスピアリの劣化コピー風。吹き抜けにある案内ブースの様子を見るスーツが1名浮いている。様子見なら、場に馴染む格好で目立たないようにすればと、いつも思うのだが。
もっとも、車で来ている人のカジュアルな装いの中で、雨の中をバイクで来ている自分のレインウェア上下+ブーツカバー姿も、かなり浮いている自覚はあるので、あまり大きなことは言えない。
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結局、一日で津山から東京まで走ってしまった。距離は、GoogleMaps のルート検索で見ると、650km程と出る。有馬で湯巡りもしたから、結構強行軍だった。

やっぱり次はフェリーの予約を早めにしよう。

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120502山陰行記

鳥取から西へ、米子まで走る。その地の名産品を知りたければ、鉄道の駅へいくとだいたいわかる。米子駅には、たとえば、こんな名産を売っている。
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古事記のエピソード、因幡の白兎は、壱岐の島から渡って来たのだった。日本最古の物語が、山陰の名産だ。もうひとつ、ゲゲゲの鬼太郎も有名。ということで、ここから北へ、鬼太郎の里、境港を目指す。驚いたことに、米子空港は「米子鬼太郎空港」に改名したようだ。交通標識が市街地もその外縁も全部修正されている。島根県民はそうとう本気。ちなみに、空港自体には両方の表記がある。気になって確かめに行ったのだ。
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島根県民の本気に比べると、国交省はちょっと腰が引けてる。w

空港から境港はかなり近い。やってきました妖怪の町へ。駅前で限定品の切手を売っている。妖怪ポストにお願い手紙を出すために1セット買う。それにしても、遠野のときもそうだったが、なぜそれっぽい女性が売り子になっておるのか。遠野ではお狐様のような娘だったが、ここはどう見てもセクスゥイな猫娘。
奥の机のおっさんが人選してるだろ。間違いなく。
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連休中は漫画サミットとかいうものがあるらしい。鳥取県はまんが王国になっているようだ。知らなかった。独自路線で突っ走るて、一体何があったんだ。

水木しげるロードというのは結構長くて、妖怪の像が延々並んでいる。沿道には妖怪にあやかった怪しげな店や神社まである。なんなんだ。
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この店は、奥の暗がりにちょっとアレなものがある。アレ過ぎるので写真は撮れない。
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本来危険なものである妖怪の気を適度になごませてくれるこの男は、鬼太郎の世界に不可欠。
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しかしほんと、これなんか夜中に寝静まったら動くのじゃないか。
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こどもたちには人気があるようで、高校から中学くらいまで、複数の団体が来ていた。

結構時間を使った。今日中に出雲へ着くのが目標なので、先を急ぐ。次は松江。
途中、中海に浮かぶ江島へ渡る橋を渡ったが、これがものすごい高さ。こんなに高く持ち上げる必要がよくわからないが、すごい。検索するとこれが高さ45Mとか。松江観光協会のページに載っている。
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松江駅前は面白い構造をしている。車は地下に誘導されて、車寄せで乗降する。駐車場もあるから停めることもできる。金はかかるが地上をすっきりさせるにはひとつの方法。
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出雲空港も名前を変えたらしい。
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ついに、出雲大社に到着。今回のツーリングの最終目的地。
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木造の大鳥居が高い位置にあり、参道から登ってきて鳥居をくぐると、今度は本殿まで下り坂になる。ちょっと変わった高低の付け方。距離が十分あるので、これで違和感はない。

拝殿には巨大なしめ縄。本殿は平成の大遷宮のため御修造中。1年後の平成25年5月に「本殿遷座祭」が催されるそうな。
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ここのお参りの仕方は、2拝4拍1拝。普通は2拍だから、その倍、手を打ちならすわけだ。さすがオリジナル。

さて、お参りも済んで、あとは帰るだけだが、菊竹清訓が設計した宝物殿を覗いてみる。明治時代にあったシカゴ万博で賞をとったという稲田姫命の像がなかなかよい。美人だが凄絶というか、そういう表情。剣を手にしているのは何かの故事だろうか。宝物殿の入り口には、16丈の高さがあったという大昔の本殿の柱の実物大模型がある。周囲の松などと比較して、その太さがわかる。
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向かい側には、同じ設計者の庁舎がある。こちらの方が建築としては知名度が高いが、どう見てもコンクリートの使い方を間違えている。この時代の建築関係者の、木造に対する否定的な感情を、ここに読みとることもできるだろうか。
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お社を出て近くに、大昔の本殿の模型が展示してあった。これが本当ならすごいのだが。
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wikipediaを見ると、こうある。

16丈の建築物が古代において建造可能であったのかに疑問を呈する意見もあるが、実際に何度も倒壊したという記録があり、当時の技術レベルを超えて建築された可能性は否定出来ない。
ファンキーだのう。
新宿に高さ1マイルの超高層を建てようず、といって建ててしまったものの、それが地震のたびに倒壊する場面を想像してみれば、この無茶苦茶さがわかろう。
上古32丈についても、山の頂上に建てられ、その山の高さであると考えれば、不自然では無いという意見もある。
32丈(96M)はさすがに無理だろうから、大袈裟に言っているのだろうとは思う。

参道を下っていくと、鉄道の駅がある。畑電鉄大社線の出雲大社駅前だ。これもなんというか変わっている。
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総じて、出雲はおおらかであるという印象を持った。あまり格式ばっていない。畏れ多くはあるが親しみがある、そんな感じ。神話の時代のゆるさとでもいうか。

参道にはHONDAの店もあったので、切れたウインカーの電球を交換してもらう。あっさり直って助かった。


これで、一応旅の目的は終了。あとは東へひた走るだけだ。今日中になるべく距離をかせぐために、中国道に乗ってとばす。日もすっかり落ちたところで、津山という大きそうな町で、ビジネスホテルに一泊。

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丹後半島とはここで別れて、国道はしばらく内陸を走る。再び海側に出ると、そこはもう山陰地方。余部鉄橋がいまちょうど取り壊されているところだ。すでに取り壊しが完了した側は、橋から直接トンネルにつながっており、旧トンネルをそのまま使うためだろうか、微妙にカーブしているのが面白い。
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鉄橋100年の歴史の最期を見届けようと、近在のお蛇様なども見学に訪れていたようだ。もうお帰りになるご様子。
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コンクリート造になってしまったから、もう鉄橋とは呼べなくなるんだなあ。
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このあとはもう、鳥取砂丘まで一直線。なのだが、途中、シールド機の組立て現場らしきものを見かけた。珍しいので止まって撮影。
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やっと鳥取に到着。砂丘に隣接してキャンプ場がある。そこに設営して、歩いて砂丘を見学に。
第一印象は、あまり大したことがないように見えるが、海岸まで歩いてみると印象が変わる。やはり大きい。
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ここまでが、キャンプ場から砂丘への入り口。これだけでも相当な距離だ。

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砂丘を少し行って振り返ると、さきほどの松林はずっと後ろに。しかし前を見ると海はまだはるか向こう。

風紋など。
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海はまだか。後ろを見ても砂。前を見ても砂。
この茫漠とした感じは少し怖い。
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時間を計るのを忘れた。やっと海岸に到着。
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落ちている小さな貝殻と、持ってきた丹波黒豆を、なんとなく並べてみたり。拡大して見ると、砂粒は半透明、黒、茶の3種類からできているらしいことがわかる。
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ペットボトルの水を垂らしてみると、おもしろい模様になる。砂に粘り気がある感じなのが、琴引浜とは違う。だから足跡も残るのだろう。
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しばらく黒豆など齧りながら海を眺める。波のうねり方を見ていると、案外すぐそこあたりから、急に深くなっている気がする。

帰りがけにみつけた、鳥と犬の足跡など。
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管理事務所の人は、鳥取には砂丘ぐらいしかないなどと謙遜していたが、なかなかどうしてこれはたいしたものだ。学校の教科書に載るだけのことはある。外側から全体を眺めても、この砂の量感はわからない。中へ踏み込んで歩きまわってみるのがよい。

疲れたが満足して寝る。

そうそう、旅程の4日目にして、やっと山陰に足を踏み入れたわけだが、この旅も終り感は一体何?w

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漁師の朝は早い。
穏やかな夜明け。テントをたたんで出発。
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天橋立の名の由来は、小高い丘から股のぞきをしたときに、天につながる橋に見えるからだとか。傘松公園というところから見るとよいのだそうだが、そのさらに上の方に成相寺というお寺があって、そのまた上に展望台があるそうなので、最高所の展望台へ行ってみることにする。
朝早いのでゲートが閉まっている。バンで来ていた先客の話だと、ゲートができたのは最近のことだそうな。その人は毎年巡礼に来ており、ゲートができる前は入ってすぐの駐車場でトイレなども使えたとのこと。寺にもいろいろ事情があるのだろうけれど、巡礼を締め出すなんてなあとの言。マナーの悪い客もいるだろうから、難しいところか。しばらく待つと、係の人が軽トラックで上がって来て、時間前だが開けてくれた。

それにしても、バンで一夜明かしたそうだが、巡礼ってそういう感じなのか。これから定年迎える人が増えて、車内泊の旅行者が増えるのかも。だからというわけでもないだろうが、車椅子でも拝殿に上がれるエレベータがあった。
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展望台は、ここからさらに上がった標高600Mの台地にある。能書きどおり、なるほど傘松よりも眺望は良さそうだ。
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ここには願掛けのかわらけ投げもできるようになっていて、輪の中をくぐらせるといいらしい。
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この寺の五重塔は、池との間合いがいい。
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作務衣の門衛さんとしばらく話す。東北の話がでて、松島は大丈夫かと聞くので、昨年見聞きした様子など話す。同じ日本三景として気になるようだ。帰りがけに、丹後半島を海沿いに廻っていくといいとアドバイスをもらう。

丹後半島を左回りに、有名な伊根の舟屋を見に行く。まず海上から遊覧船で。水がかなり透明だ。
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生簀の手入れに来ている漁船と、その向こうの舟屋。陸側の平地が狭いから、こうした住戸になったとされている。
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陸側から舟屋を見たところ。人の生活圏なので、至近距離の撮影は控えめに。
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陸の道が細くて不便なので、以前はちょっとした移動にも舟を使ったとか。カーポートに車を停めているような感覚だったのだろう。
背後の山にある道の駅から湾を見下ろすと、かなり奥まった感じがわかる。海が比較的穏やかそうだということも、舟屋の成立に関係しているだろうか。
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伊根を離れて少し内陸の国道を行くと、半島の北端あたりの海岸に出る。瑠璃色の海が美しい。
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西へ走ると、丹後松島といわれる景勝地。
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さらに西へ。琴引浜というところを通りかかる。鳴砂の浜があるらしい。有料だがちょっと寄ってみる。
たしかに、足を蹴りだすようにして歩くときゅっきゅと鳴く。さらさらしているからなのか、足跡がまったく残らないのが不思議。
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ひたすら西へ。久美浜湾に出る。湾と呼ばれているが、宍道湖などと同じ汽水湖だ。穏やかな水面。
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豪商稲葉家住宅を中心に、伝統的な街並みがよく残っている。電柱は致し方ない。
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稲葉家住宅で昼食をとっていると、よくとおる声で台詞を云うのが聞こえる。なんでも、連休本番の明後日から、ここで紙芝居を上演するので、その稽古だそうだ。日本家屋に調和したいい声に暫し耳を傾ける。


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120430山陰行記

琵琶湖北辺を回って若狭湾を目指す。はずだったが、琵琶湖の大きさに惑わされて距離感を間違える。少し行きすぎて白髭神社へ。奥の本殿は桃山時代のもので重文。手前の拝殿は明治時代のもの。湖中に鳥居が建っている。本殿からさらに山の斜面を登ると、もっと古い神様達が祀られている。一番奥には岩戸神社がある。
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道を戻って西へ。若狭湾に面した小浜市に出る。ここだったのかオバマ。米国大統領(当時上院議員)に同名のよしみで手紙を送ったファンキーな小浜。同名と同盟を取り違えている気もしないでもないが。

遊覧船が出ているので、待ちながらフィッシャマンズワーフと称するところで昼飯。魚介類を売っているがしっかり観光地価格になっている。鯖の串焼きが豪快。写真とるのも忘れて箸をつけてしまいました。脂がのっていて旨い。ご飯とみそ汁が付けば普通にこれくらいの値段になるから、案外リーズナブルか。そうしないのは、2階のレストランとの兼ね合いだろうか。持参のクラッカーとミネラルウォーターも一緒に夢中で食う。
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食べ終わると、ちょうど遊覧船の出発時刻。曇り空だが、それでも島影の濃淡が美しい。
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目的地は、ありがちな海岸の岩。見通しの向こうに滝がある。手すりが見えるので陸側からも行けるのだろう。帰り道で見慣れない施設が。地図では大飯「発電所」となっているが、いま再稼働で話題の原発だ。
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全般に、商魂たくましい印象がよかった小浜市に別れを告げて、さらに西へ。舞鶴、宮津と行けばもう天橋立だ。
教科書的に名前を知っているだけだったので、ここではじめて、海の中道的な洲であることを知る。バイクは駐車場に置いて、距離も分からず歩き始めてみる。レンタサイクルで行く人が多いところをみると、向こう側まで結構遠いのだろうか。
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長い距離を紛らわすためなのかどうか、昔の刃傷沙汰の話を沿道の松の由来に仕立てたり工夫が見える。それも歩き始めて10分くらいの間で、あとはずっと白砂青松が静かに続く。内海側では釣り人などが見えて、水深の浅さが窺える。
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40分ほど歩いて対岸に到着。思うのだが、松がなく両側に海が見える不安で開けた道にした方が、感慨が深まると思う。松並木の間を歩いているだけでは、内陸のそれと違いがない。帰りは水上バスで。
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どうもウミネコに好かれているようだ。イルカと同じで競争しているつもりなんだろうか。
と思ったら、誰かがかっぱえびせんを船尾でばらまいていて、それが目当てで集まっているらしい。風雅なわけではなかったw。 八戸のウミネコの島で彼らを間近に観察したおかげで、あれをカモメという間違いはもうしないけれど、売り物のえさには「カモメの餌」と書いてあるから、間違って覚えてしまう人も多かろう。ウミネコよりカモメの方がほのかにロマンチックなのか。
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向こう側の海が見通せるくらいの細い洲と、陸とをつないでいる橋は、回転式になっている。水の出入りはこの狭い水路だけだが、内海も海水とのこと。
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水路の横にある智恩寺の多宝塔は重文。燃えずに残っていることが、後世の再建による他の建築物との違いといった感じ。
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今日はここまでにして、すぐ近くのキャンプ場に設営。水路が目の前を走っていて、ときどきシャトルや漁船が通る。その立てる波が、目の錯覚で高く盛り上がって見えて驚く。トイレなどの設備が古いので女性にはお薦めできないが、なかなかいいロケーション。
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駅横にある銭湯につかって汗を流す。ツアラーにとっては、なかなかいいサイトのようだ。

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120429山陰行記

尾張一宮の駅前には、小さなロータリーがある。三叉路を処理するためにこうした工夫がなされたと思うのだが、面白さが出ている。正面が改装中の駅舎。ロータリーの影響で、道や建物が見え隠れする風景になっている。
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この小ロータリーに、そこそこ大きな商店街が接続している。ちょうど端午の節句で、鯉のぼりが盛大に飾られて、町の活気を窺わせる。シャッターがどのくらい上がるのかは、休日の朝早くなのでわからない。
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この町には、美化意識があちこちに感じられる。
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駅前ビルはこういう風になるらしい。うわお。
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郊外に公共施設を作ってきた結果、中心市街地が空洞化し問題になっている。駅前ビルに公共の機能を多く集めて、市街地を再度活性化する方向とのこと。高齢化社会を迎えて、大筋それが今のトレンドではあるか。

今日の最初の目的地は、養老天命反転地。下道をずんどこ行くと、途中に異様な建造物が。
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建築系の雑誌でみたときは、ああまた変わった研究棟でも作ったのね程度に思っていたが、建物ではなく、流行りの太陽電池パネルであるらしい。その異様さ、ミスマッチ感は、近くの民家との比較でわかる。
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でもなんだかこういうのも好き。

* * *

さて、本日のメーンエベント、養老天命反転地だ。この施設・・というか、建造物は、養老公園の一角にある。建設当時、業界の話題になりそれ系の雑誌などにも載った。これを言葉で説明するのは難しいが、遊んでみてわかったことを言えば、これは山歩きと同じだ。道なき道。斜面や断崖。深い茂みや林。泉・川・滝、そして洞窟。頂上の岩棚と深いクリフ。一本道。転落を誘う尾根筋。そういった山歩きの楽しさを全部持っちながら、そして、山の中で自分というものの小ささとかけがえなさを知るのと同じ体験を含みながら、しかし人工物なのだ。すごい。

この見方は、あるいは作者の意図とは異なるかもしれない。売店に置いてある記録本には、理屈や詩でこれを説明、あるいは理解しようとする言葉の羅列がある。だが、どれもぴんとこない。それもそのはず。これが造られたのは平成7年。文章が書かれたのも同じ頃だ。往時の写真を見ると、ここはまだ裸の人工物で、樹木に覆われてはいなかった。それから20年弱が経った今、これら文筆家たち(谷川俊太郎や辻井喬の名もみえる)が再びこの地を訪れれば、違ったことを書くかもしれない。作家は現在の状態を予測して造ったそうだが、評者にはそこまで見えてはいなかったろう。
記録本の中で、工藤順一という人が書いた文が、私には比較的わかりやすい。

なにしろ、荒川修作は世界で最も難解な作家であるとする評者すらいるのだから。むしろ岐阜県民の良識の方こそ信じたいと思うよ。少なくとも税金を使用して作られる公共の建造物にそのような難解で特殊なものがきて良いなずがないだろう。私たちみんなに関係があるから公共というのだね。(そこに個人的で趣味的なものを持ってきて、たとえばパブリック・アートなんて言うのは本当におかしいね)
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なんでもことばや知識にしないと分からないと思うのは私たちの時代の非常によくない習慣だ。それが芸術をますます衰退させている。
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今はどんなものでも必ずだれか他の人が考えた古い意味とか解答がきちんと付いていて、それを暗記している人間が偉いという物語になっているね。時間をかけて解答のない問いを自分で考える機会なんてほとんどないような仕組みだ。
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私たちは今あるこの世界の意味を実は運動を通して作り上げたのだ。こころとか社会とかことばはみんなそこから作り上げている。
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学校や両親や友達や慣れ親しんだ環境は、君はこんな人だという物語を君に与え、君の上に書いてしまうだろう。でもそんな一方的な物語の登場人物に君は満足しているだろうか。本当の私はこうじゃないと思うところがないだろうか。君は君の永遠の(36億年の)ソフィー(知恵)に気付くことができるだろうか。
難しいことは、とりあえず措いて、遊ぶ。


入口をはいると、まずは足慣らしの迷路と岩山。岩山のてっぺんには井戸がある。子供らすでに全開(笑)。やはりというべきか、迷路より岩山の方が子ども達の反応がいい。手足をフルに使えば頭も活性化されることを、子どもは素直に体現している。
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その次は住宅。岐阜県の地図が投射されていたりするのは大人向け。こどもはそんなことにはおかまいなく、走り回ってはへんてこな家具達を発見している。床が波打つように傾いでいるのが楽しい。ところどころ床が透明になっていて、地下には別世界らしきものが見える。狭い隙間はこどもだけの世界。
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あとはもう好きなように。別の迷路の中には梯子などがあって、最初だれも気付かないか無視していたようだが、私が上って写真を撮っていると、子どもたちがわらわらと登りに集まってくる。人がやるまで気付かないかな。あるいはチャレンジしないのか。それに気付かせて、本来の人間に戻すのも、この施設の作用。
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斜面に刻まれたクリフと遠景の山。谷筋を歩いていて時折見える峰のようだ。
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このクリフは斜面に無造作に刻まれてある。子どもが落ちれば骨折くらいはするだろう。だが普通は落ちない。落ちても、頭や首がやられないような体勢を自然にとる。なにより、体はまだ軽い。ジャングルジムで鬼ごっこの王者だった私は何度か落ちて手の骨を折ったり、脛を打ちつけて痛い思いをしたりしたが、どうやらまだ生きている。代えがたい幸運を振り返って感謝。
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あやしい洞窟発見。中は簡単な迷路になっていて、突当りの部屋の天井に日本列島が穿たれていて陽光が入っている。ひと一人が立てる狭く深い空間の底で手を打ち合わせると、鳴き竜と同じ効果が何倍もの強さで、ビューンという音。作家がそこまで意図していたかどうかは知らない。
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すり鉢状の地形の縁に登って底を見ると、ジャングルの中に遺跡様のものが見える。小さな子が母親を探しながら迷路を出たり入ったりしている。年長の女の子が見つけて保護に駆け寄る。すり鉢の右手の斜面から、「○雄どこーっ?」という母親の声。左手の中腹あたりで、「こっちーっ」と応える男の子の声。まるで鹿や猿が森の中で互いに鳴き交わしているようだ。
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さきほどの小さな子の家族はめでたく集結。これは活動的な一群で縁から観察していると興味深い。一方、写真右上、向こう側の斜面では、別の群れが集まったり散ったり、まったく別の宇宙を形成している。この濃密なジャングルの中で、互いの群れの間に接触はない。樹木の間に隠れて、ほかにも多くの群れがいる模様が音と声でわかる。
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縁を降りて、すり鉢底の遺跡に行ってみる。そこからさきほどの縁を見上げると、別の群れが占領している。今度はこちらが観察される番らしい。
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遺跡を離れて斜面をうろついていると、またまた洞窟発見。しばらく観察していると、入口で様子を窺いながらも入らない群れ、思い切りよくどんどん入っていってしまう母親に困惑して正常な警戒心を露にする子どもなど、いろいろある。
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中に入ってみると、真っ暗。
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中の方で声がするのだが、足元は傾斜しているし、進みにくい。スマホのカメラでフラッシュを焚いて道を探す。やや反則気味だが、財布同様に持ち歩くデバイスに高機能カメラが普通についている今の世の中を、17年前に予想できようはずもない。暗闇を突き進む野蛮な突破力と引き換えに、私たちは闇を照らす文明の利器を手にしたわけだ。(笑) ところがこれも、使おうという人はあまり居ない。ひょっとして相変わらず野蛮なのだろうか。
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この暗闇の迷路の奥に、隠された円筒型の小部屋があり、天井にはどこかで見たことのあるような穴が穿たれている。迷路は傾斜やわずかな光などに反応する人の習性を利用して、足がここから遠ざかるように巧妙につくられている。この時間帯でここを発見したのは、たぶん私だけだろう。ほとんどの群れは、迷路の中を一周したと思い込まされて、そのまま出口へ向かう。

この目的地を発見するための慣らしとして、最初に黄色い洞窟を見せており、それを文章で注意喚起もしているのだが、思い出す人はいない。ここは作者の読み違えだろうか。
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再びすり鉢の縁へ登ると、最高所の展望台まで続く壁が立っていて、施設の結界を成している。この壁の上を猫のように歩いて行っていけないとはどこにも書いていない。だから展望台までよじ登っていっても構わないわけだ。行けるならば。しばらく考えてやめておくことにした。いまの疲れ具合だと立ち往生する可能性がある。それにも増して、子どもが見て真似をすると、かなりまずいことになりそうだ。20代の頃なら、登ってしまうところだが、いまは微妙に抑制を利かす。
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その展望台へは一本道が通っている。狭い道だ。先に何があるのかは、行ってみた人だけの体験。
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昼過ぎまで遊んで、大満足。出口は普通の公園の広場につながっていて、出るとなぜかほっとする。
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ちなみに、荒川修作による三鷹のRC造賃貸住宅の方は、残念ながらというか予想通りというか、借り手探しに苦労していると風の噂で聞いた。
三鷹天命反転住宅

芸術は、日常生活とは少し離れた位置にあるのが、ちょうどよいのだ。

* * *

ここからは琵琶湖を目指して走る。山陰行のはずが、二日目にしてまだ岐阜・滋賀の県境に居るのもどうかと思うのだが、養老天命反転地は大いに楽しめたので、これでもう帰ってもいいくらいの気分。とはいえ、この先にもまだ面白いことが待っているはずだ。連休はまだまだ続く。

琵琶湖到着。あいにくの曇り空。北回りでいく。
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途中、「酢」という名前の交差点がある。信号待ちで気付いて急いで撮影。あとで検索してみると、虎姫町というところらしい。
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コンビニに、関西にしかないだろうというものがあった。別のコンビニには日田天領水ミニサイズもある。
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木之本という町は賤ヶ岳七本槍を町おこしのテーマにしているようだ。甲冑姿の若武者が駅で記念撮影に応じている。写真は設定ミスでモノクロだが本物は赤い。訊けば糟屋武則のものだという。
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市街地では長浜戦国大河ふるさと博というものをやっていて、こちらにも武者が。賤ヶ岳の戦いの資料展示などがある。長槍の実物があって、持ってみると長くて重い。主に馬上で使うのだとか。歩兵はもう少し扱いやすい短槍を使う。こちらはなるほど振り回しやすそう。
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おなじ町の並びには、450年続くという酒屋もある。奈良京都ほどでなくても、このあたりの歴史は古いのだ。
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日も傾いてきたので、駅で教えてもらったキャンプ場へ。京都あたりからバンガローを利用しに来るくらいの距離感のようだ。家族連れの話では、子どもが喜ぶし設備が綺麗なのがいいとのこと。

昨日今日と夏日が続いて堪えたが、山の中は涼しい。
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120428山陰行記

日本列島を大雑把に何々地方という呼び方をしたときに、行ったことがないのが山陰地方。というわけで今年はここへ。昨年行くつもりだったのだが、震災があって東北行に変更したので、おあずけになっていた。

霧の東京を6時に出発。東名を西へ。
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予定では、徳島行きのフェリーに金曜夜に飛び乗るつもりだったのだが、満席キャンセル待ちということであえなく断念。以前は、雑魚寝の二等は当日乗れてしまったような気もするのだが、思い違いか。今は二等と雖も番号が振られた寝具入れの棚が割り当てられて場所まで決まってしまうのだった。たまにしか使わないからすっかり忘れていた。

やむなく意を決して道路で行くことに。山陰は遠いな。。オフロードバイクにはあまり嬉しくない展開だが、一方で途中いろいろ見て廻る楽しみがある。新東名というのが開通したそうなので、まずは最初のメルクマールにする。

箱根を越すあたりまでは霧が晴れず寒かったのだが、静岡県に入ると俄然晴れて、右手間近に雄大な富士が出現。新幹線から見るよりずっと大きく見える。走りながら写真が撮れないのがつくづく残念。スキーのゴーグルにカメラを内蔵したやつ、高いけど買うかなあ。。

新東名はできたてだけあって、路面が綺麗。道はカーブが少ない。路肩の舗装の色がシック。トンネルの照明が白色光で明るい。ネオンランプのおどろおどろしい感じがなくなった。総じて、流行り言葉で云うところの、スマート。

駿河湾沼津SAで最初の休憩。テナントは上島珈琲店など明らかに都会志向。同時に、地元の物産販売もあって目を引く。

これは、黄金柑という、小さくて可愛らしい柑橘類。味は濃くてうまい。説明書きによれば九州で見つかったそうな。右はあとでB5ノートに乗せて撮ったものだが、まさに月見団子サイズ。
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20個くらいで250円。これは都会で受けるかも。

ほんれんそう安いぞ。これが帰りなら買うところだが。。
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車の展示などもあって開業気分を演出。屋外には電気自動車の給電機もある。1機だけだが。
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このSAのウリは、やはりオーシャンビュー。空も晴れあがって素晴らしい。
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このSAは、隣接して地元の人のための駐車場もあり、高速道路利用者でなくても、物販や飲食施設を利用できる。旅行者は地元の物産を知ることができ、地元民はテレビで見たサービスを手軽に体験できる、文化が出会う場でもあるわけだ。テナントがどう変わっていくか、しばらく気になるところ。

次は、静岡SA。お台場にガンダム立像が帰ってくる間、しばらく出張していたところだ。当然のようにSTRICT-Gがある。
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そして、トラックドライバー御用達の店も。コインランドリーやシャワーもあって、バイクツアラーにも使い勝手がよさそう。
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小牧あたりで高速を降りて、次のメルクマール、明治村へ。以前来たときは時間がなくて、帝国ホテルしか見られなかったのだ。今回も午後2時と時間はおしている。
帝国ホテルは、移築されたのがエントランスホールまわりだけなので、重文指定はもらえないらしい。ガイドさんが残念そうに話していた。維持の費用は、ライト財団や篤志家の寄付に頼っているとのこと。現在の帝国ホテルにも、ディテールの意匠は随所に生かされているらしい。こんど探しにいってみよう。
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聖ザビエル天主堂は、ステンドグラスが落とす光が美しい。
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呉服座(くれはざ)は重文指定。内部の様子がよくわかる。ひと枡が4人、桟敷も入れて席数ざっと250程度か。興行の収益構造がどうなっていたのか、知りたいところ。そういう解説も一般向け資料として作ってくれると、博物館としての明治村の価値も上がると思う。

宇治山田郵便局も重文。この意匠を木造でつくるわけだから、当時の大工や施主の心意気が知れようというもの。擬洋風などと侮れない。
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西園寺公望別邸の坐漁荘は、御厨貴「権力の館を歩く」が取り上げていた。内部をぜひ見たかったが、時間も遅くガイドの最終に間に合わなかった。ガイドなしで自由に見学はできないのだ。次は早めにここへ来よう。
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そして、幸田露伴が住んだ「蝸牛庵」。これも中を見れなかったが、玄関がよい。障子窓にガラスが使われていて、奥の客室が庭をはさんで見通せる。現代でも好まれる手法。ほかにも、森鴎外や夏目漱石、石川啄木などが住んだとされる住宅はあったが、どれもあまり変わり映えしないものだった。もっとも、露伴は住まいを度々移ったそうだから、他の住まいもこうしたセンスでつくられていたのかどうかはわからない。
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日も暮れて、周囲にキャンプ場もなく、道端で野営するには開け過ぎている。近くの比較的大きな駅でビジネスホテルに泊まることにする。ここからだと、尾張一宮が近い。1日目はこれで終了。

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