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2012.03.17

「ヤング≒アダルト」

感想を書きづらくて、ひと月ほど置いてしまった。シャーリーズ・セロン演じる主人公の荒んだ女王様っぷりを楽しむ映画。誤解のないように付け加えると、女王様を蔑んだり取り巻いて冷笑するのではなく、むしろその暴虐からの凹みぶりと回復力(笑)を味わうという趣の映画。以下ネタバレ。

女王様といっても、本物のビッグなそれではなく、案外小物。活動拠点が”リトル”アップルであったり、仕事は"Auther"ではなく"writer"であったりという点にそれが表れている。

対して、田舎に住み着いておそらく一生を終える人々の彼女を見る目は、嫉妬、羨望、嫌悪、憐憫といったところ。

努力と才能で田舎を脱出し、都会でなんとか生計を立てている自分は、田舎者どもに比べて一段上の人間だと思っている女王様が、彼らの嫉妬を一蹴しつつも、嫌悪に少し傷つき、憐れみの眼で見られてさえいることを知って逆上、破滅的な結果を迎えるものの、一部の田舎者からの、変わらぬ羨望を感じ取って、たちまち回復し、自分の住処へ還っていくまでを描く。

この作品のいいところは、そんな女王様を決して否定的に見ず、むしろ彼女を見る眼差しに暖かいものを感じさせるところ。世の中の進歩は、多少性格に問題はあっても、前へ前へと否応なく進む気質の人間によってもたらされ、その他大勢の凡庸な幸せに安住する多数派に、まわり回って大いなる恩恵をもたらしている。そういう感覚が、作品の行間からなんとなく感じられる。だから、女王様を見る目も暖かい。

十分凹んだ後の、女王様にだって生きる権利はあるわよっ! およ?あたしってまだまだいけそうじゃん? さあ今日もいくわよっ!という感じの後味がいい。それをきちんと表現するシャーリーズ・セロンの豊かな表現力も見どころ。よい役者を得て、結構いい出来になった一本。

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