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2011.12.18

「もののけ島のナキ」

その手でくるのはわかっているのに、泣ける。笑える。しんみりする。映画づくりの手練で、この話をここまで完成させたことに脱帽。原作を知らずに見る方が、断然、いい。それくらいに、お話として、原作を凌駕している。以下ネタバレ。

もののけが人の心を持っていれば、それはもうもののけではなく、人だ。その点で、「もののけ姫」のもののけたちと、この作品のもののけは違う。もののけ姫の最後のシーンで、サンとアシタカが交わした会話は、もののけと人が根本的に異なる生き物だということ、そして、にもかかわらず、通じる部分もあることを表している。

この「もののけ島のナキ」のもののけたちは、基本的には人だ。親子の情があり、未知のものを恐れ、仲間や友達を想う。彼らが人と異なるのは、その外見と、風俗習慣や使う技だけ。とわかれば、もののけのかわりに異国の人でもいいわけだ。

ただし、このお話には、原作にはない前提が取り入れられている。主人公の赤おにナキと青おにグンジョウは、かつて人間との戦の中で親を亡くしたという過去を持っており、その恨みや悲しみが残っている。この恨みをもって、彼らは晴れて、本来の意味の「物の怪」たり得ている。はずだ。もののけ島のほかの仲間はアニミズム的な「物の化」であって、ナキとグンジョウとは少し違うようなのだが、輪郭を曖昧にすることで、ソフトな味わいになっている。

その二人が、人間の赤ん坊コタケを得て、面倒をみることで、人に対する恨みを次第に溶かしていくことが、このお話の主軸になる。クライマックスでは、恨みを忘れまいとする心と、それでも仲良くやっていきたいという心を、グンジョウとナキの争いという形に集約している。そして最後に、原作から拝借したとっておきの隠し味。んー泣ける。

未知のものに意味もなく恐れをなす必要はないことを、こども向けにわかりやすく楽しく教えつつ、同時に、人に共通する良い面と悪い面についても示唆するお話になっており、情操教育にもとてもよい。家族連れには最高の一本。いわゆるアニメ作品のような商業主義的な匂いがないのもよい。

そうそう、「ヒックとドラゴン」に並ぶよい作品、ということも付け加えておきたい。こういうタッチのアニメーションが割と好み。次は、「メリダとおそろしの森」が待ち遠しいです。

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