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2011.10.01

「4デイズ」

このところ、日本に入ってくる米国の映画は、愛とか恋とか青春とか慈愛とかが少なくて、9.11の後遺症のようなものが多い気がする。10周年ということで、企画屋さんたちもそこに力を入れているのだろうか。本作もそのうちの一本。以下ネタバレ。

圧倒的な経済力と軍事力で唯一の超大国の地位にあったときの自信は影を潜めて、覇権国としての実力の陰りに対する焦りと不安が表面に出てきている感じがする。その点では、「ロサンゼルス決戦」や「スカイライン」などと同様だが、この映画はとりわけ、米国人が恥部と感じているだろう、テロリストに対する拷問を取り上げている。

もちろん、それを主題にしてしまうと興行的に支障があるだろうから、ソフトにぼやかして、むしろ、尋問する側とされる側の駆け引きの方に焦点を当てている。見る側もそのお膳立てに乗る方がよいかもしれない。

拷問に否定的な人道主義を代表するのが、キャリー・アン・モス演じるFBI捜査官。テロリストにそんな考えは通用しないという現実主義(?)を代表するのが、サミュエル・ジャクソン演じる尋問人。暴力と知力を容赦無く使い分ける尋問人と、それに歯止めをかけようとするFBI捜査官という立場の違いはあれど、緊急で死活的な情報を聞き出すという目的を共有している。

さらに、尋問人の妻を、ボスニア・ヘルツェゴビナの内戦で被害にあった女性として、その口から、内戦の呵責ない現実を語らせたり、アラブ世界の独裁国家を支援する米国のダブルスタンダードを、テロリストの主張に据えたり、いろいろと痛いところを突いている。

理想と現実の葛藤も、ここまでせっぱつまった設定のなかでは、理想はやや分が悪い。結末がどちらにころんだのか明示しないまま映画は終わるが、おそらく、人道主義の敗北を、このラストシーンは暗示しているだろう。

どうにも後味のよろしくない問題作といったところか。


理想をあるレベルで維持するためには、たぶん、こうした決定的な状況に至る前に抑制する、周到でこまめな手当が必要だ。そういえば、太平洋の反対側にそういう国があった。住人はいろいろ不満を口にするし、外国からはナイーブと冷笑されることも多いものの、不思議とテロの不安からは最も遠い平和の国。

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