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2011.10.23

「スマグラー」

えぐい。超えぐい。それで、最後はすっきりカタルシス。でも妻夫木聡をアイドルと見ているなら、この映画はやめておいたほうがいいかもしれない。原作の漫画があるらしい。以下ネタバレ。

妻夫木聡をwikipediaで引くと、こんな記述がある。

「自分が何もできなくて、悔しくて、恥ずかしくて、最悪な自分がいた。自分の無力さを感じた」と述懐し、俳優の勉強については「誰にも習わずひとりで勉強した」と語る。
この映画は、まるでその話を地で行くようなストーリー。

何もできないその主人公が、流されるままにたどり着いたある仕事場で、切羽詰まった状況に追い込まれてはじめて、隠れた能力を発揮するという話は、多くのストーリーテリングのテンプレートだ。だから作品として質を高めようとするなら、そこに絡ませる要素をよく練る必要がある。この映画は、そこは普通によくできている。

その上で、主人公の切羽詰まり方が、えぐい。超えぐい。正真正銘の極限状態。それをつくりだす相方(と呼ぶのも変なのだが)の高嶋政宏が、またすごい。最初から飛ばしているのだが、この部分は・・この人大丈夫なのかと一瞬、我に返って疑いを持つくらいに。それだけ、優れているということなのだろう。

もちろん、妻夫木も負けてはいない。メイクやCGの出来は文句ないから、あとは目だが、彼はその演技がいい。「悪人」のときもそうだった。よどんだ感じとピュアな感じの落差を出すのがうまいのだ。それが、クライマックスのカタルシスを大きなものにしている。

そのカタルシスに織り交ぜた作り手のメッセージについては、あえて触れないでおこう。言い尽くされていることでもあり、それに乗ってどんな結果が待っているかは、それこそ自己責任なのだし。

と考える日本人一般の今の有り様がよろしくないと、うっちーはおっしゃるわけだけれど。


少々アクが強いが、見て損はない一本。

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