「ゴーストライター」
英国の元首相にして大政治家が自伝執筆のために雇ったゴーストライターが、米国の離島の別荘に着任した後、前任者の不可解な死を糸口に、英国と超大国とのずぶずぶの政治的関係を知り、権力の冷酷な作動を、文字通り身をもって知るお話。というと、つまらない映画のように聞こえてしまうけれど、感想としては、これは観て損のない味のある映画。以下ネタバレ。
政治的な背景を設定しながら、政治臭は最後まで抑えて、登場人物の会話を中心にまわしている。元首相婦人と主人公の会話、元首相の政敵である外相との会話、秘書とのやりとり、怪しさ満点の教授との会話。そうした会話の連なりで、登場人物の外見と内面を観客に見せていく。どの会話も激することなく理知的で、しかしところどころ切れ味がある。
おおよそが把握できた頃、クライマックスが訪れ、一応お話は終わったかに見える。あとはエピローグ、と見せておいて、そこがこの映画の真のエンディング。クールな結末。
自分はジャーナリストではないと言いながら、真相解明に嵌っていく、ノンポリで引篭もり気味の主人公。最後に正体が割れる黒幕。前者のあからさまなナイーブさと、後者の隠れた冷酷さの対比が、不思議とコミカルな印象で残る。
この自虐的とも思えるコミカルな終わり方は、英国人の今の気分を表しているのだろうか。
金融に国の命運を掛けて一旦は成功したかにみえたが、超大国の金融不安で暗転、過去の蓄えも目減りして、積極的に荷担した戦争も大義に疑問符を付けられた形で、どうも調子がいまひとつ。それもこれも超大国が悪いということにしておきたい気持ちを、拾い上げたような、興味深い作品。という受け止め方をしておこうか。
そういえば、主人公が島で出会う米国人達が、口々に「あんた英国人だろ?」と言っていたのは、言外に英国への一抹の同情と好意があることを示したかったのだろうか。もちろん、同国人で声をかけてきた人物は、あからさまな敵意を示していたけれど。
なるほど、これが今の英国人の気分なのかもしれない。
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