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2011.09.11

「探偵はBARにいる」

昭和を思わせる心象風景と、今風のディテールが混じり合って、何ともいえない空気を醸し出している。ネタバレはできないので感想は書きづらいが、人の言うことを素直に信じるタイプの私は、目一杯楽しめた。以下ネタバレは読まずに映画館で観たい。

そもそも、探偵、という職業からして、昭和だ。職業として廃れたわけではないだろうけれど、このネット時代に、表には出て来にくいものではある。携帯を持たず、BARを連絡先に使う探偵。そして、古風な老舗やくざと手段を選ばない暴力団。地上げ。右翼団体。炭鉱閉山の歪み。金満。純愛。秘めた想い。尽くす心。なんという昭和の香り。

少し前の時代のお話を加工・再生して、ボリュームゾーンの観客に訴える手法がこのところ多い。この作品の基調もそうなのかもしれないが、他のものと少し違う気もする。「ALWAYS 三丁目の夕日」のように、舞台そのものを昭和に設定するのではなく、札幌ススキノという場所を選ぶことで、現代の中にイメージとしての昭和をうまく持ち込んだようだ。

その舞台設定が固まれば、あとは昭和風の物語を楽しめばよい。探偵ものだから謎が絡むのだが、謎解きにこだわるよりも、語りにのせられて主人公に感情移入する方が、ずっと深く楽しめる。一見なにげなく挿入されているシーン、例えばスポーツバーの二人の途中から切れたような暴行と苦渋の表情、あるいは、小雪演じるクラブのママが、裏を暴かれたときの悪辣な表情などが、あとになって効いてくる。

それが、どろどろの情念にならず、うまい味に仕上がっているのは、主人公の、後を引かない気質に加えて、相棒”高田”のシニカルな存在感があるからだろうか。「まほろ駅前多田便利軒」でもそうだったが、松田龍平はこうした役回りにぴったりはまる、得難いキャラクタ。主人公の血が熱くなり過ぎないよう、絶妙にバランスさせている。

淡白でプラグマティックになりがちな昨今だが、裏も表もある少し情念の篭った世界を覗いてみるのもいい。後味も悪くない。割とお勧めの一本。


ところで、途中、右翼団体から逃げ出した時についてきた少年のエピソードは、次回作へのフックなのだろうか。2作目も作るなら、またこの探偵コンピを観てみたい。

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