« 雑記110909 | Main | 雑記110913 »

2011.09.11

「探偵はBARにいる」

昭和を思わせる心象風景と、今風のディテールが混じり合って、何ともいえない空気を醸し出している。ネタバレはできないので感想は書きづらいが、人の言うことを素直に信じるタイプの私は、目一杯楽しめた。以下ネタバレは読まずに映画館で観たい。

そもそも、探偵、という職業からして、昭和だ。職業として廃れたわけではないだろうけれど、このネット時代に、表には出て来にくいものではある。携帯を持たず、BARを連絡先に使う探偵。そして、古風な老舗やくざと手段を選ばない暴力団。地上げ。右翼団体。炭鉱閉山の歪み。金満。純愛。秘めた想い。尽くす心。なんという昭和の香り。

少し前の時代のお話を加工・再生して、ボリュームゾーンの観客に訴える手法がこのところ多い。この作品の基調もそうなのかもしれないが、他のものと少し違う気もする。「ALWAYS 三丁目の夕日」のように、舞台そのものを昭和に設定するのではなく、札幌ススキノという場所を選ぶことで、現代の中にイメージとしての昭和をうまく持ち込んだようだ。

その舞台設定が固まれば、あとは昭和風の物語を楽しめばよい。探偵ものだから謎が絡むのだが、謎解きにこだわるよりも、語りにのせられて主人公に感情移入する方が、ずっと深く楽しめる。一見なにげなく挿入されているシーン、例えばスポーツバーの二人の途中から切れたような暴行と苦渋の表情、あるいは、小雪演じるクラブのママが、裏を暴かれたときの悪辣な表情などが、あとになって効いてくる。

それが、どろどろの情念にならず、うまい味に仕上がっているのは、主人公の、後を引かない気質に加えて、相棒”高田”のシニカルな存在感があるからだろうか。「まほろ駅前多田便利軒」でもそうだったが、松田龍平はこうした役回りにぴったりはまる、得難いキャラクタ。主人公の血が熱くなり過ぎないよう、絶妙にバランスさせている。

淡白でプラグマティックになりがちな昨今だが、裏も表もある少し情念の篭った世界を覗いてみるのもいい。後味も悪くない。割とお勧めの一本。


ところで、途中、右翼団体から逃げ出した時についてきた少年のエピソードは、次回作へのフックなのだろうか。2作目も作るなら、またこの探偵コンピを観てみたい。

|

« 雑記110909 | Main | 雑記110913 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 「探偵はBARにいる」:

« 雑記110909 | Main | 雑記110913 »