雑記110508
東京に戻ってきた翌日、つまり昨日は、鼻がひりひりして、くしゃみがぶり返した。東北を移動していたときは何ともなかったのに。
排気ガスかな。帰り道にいきなり環八を通るのがよくなかったのか。
今日は多少改善した。慣れてきたのか。
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浜岡が事故を起こした場合のシミュレーションを、どこかの研究機関でやっていないのだろうか。安全神話を支えるために見ないことにしていたから、ない、ということかもしれないけど、大急ぎで何かできないものだろうか。
いまの状態は、リスクではなくてデインジャーというものだと思うけど。
冷静な議論を、というためには、冷徹な基礎情報が必要だ。それがなければ、運転継続というギャンブルはできないから、当面停止の方向に議論が傾くのは致し方ない。
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福島の事故原因を外部電源喪失だけに限定して、津波対策をこれこれしているから安全、という論法も、やや怪しい。一般の建築でさえ耐震基準は大地震があるたびに改められて、それ以前の耐震基準のみに基づく建築は”不適格”とされているというのに、原発はどうなのだろう。
それについて、経産省のサイトに「原子力発電所の地震対策」という文書(2006年)が置いてある。それによれば、耐震補強はしているが、専門家の間でも、原発の耐震性能については意見が分かれるようだ。
地震 PSA の客観的信頼度・成熟度に関する認識が専門家間で異なっており、見直し作業は、補完的な活用に留める方向で進められている。となっていて、確率論的な検討は、どうもなじまないと考えられていることが窺える。
確かに一理ある。遠方に居て、原発事故を賭けの対象にしているような職業(笑)なら、確率論的な議論が馴染むだろう。その数字に基づいて虚実織り交ぜて取引を行えばよい。しかし当事者、当事国となれば、そのスタンスはとりづらい。
上の文書ではまた、設備配管等の、揺れに最も弱いと思われる部位についての耐震性能について、振動実験は一応行われていたことに触れたあと、こう言っている。
しかし、以上のような議論には、定量的な議論が抜け落ちているとの指摘がある。実際は、原子力発電所の老朽化対策はまだ分からないところもあり、試行錯誤の段階だというのである。地震対策として、世界最大の大型振動台で実施された耐震実験は、設計で想定した地震よりも大きな力で実際に揺らして、その安全性を実証しているというが、全く亀裂などの欠陥のない材料で構成したシステムで実験したものであり、老朽化に伴う現実的な亀裂などの欠陥を想定したものではない。まだ一度も検査が行われていない配管もあり、亀裂などの欠陥があるかもしれない。大地震により、瞬間的に大きな衝撃が加わったとき、亀裂が一気に拡大して、数箇所で同時に配管が破断する可能性もある。最悪の場合には、炉心損傷事故に陥るかもしれないという。中部電力の対応についても、興味深い記述がある。
このような見解の食い違いがあるなか、中部電力は、浜岡原子力発電所の 5 基の原子炉全てについて、1000 ガルまで耐えられるよう耐震補強工事に着手した。しかし、なぜ、その段階まで補強するのか、科学的な説明は行われておらず、立地地域をはじめとする国民の不安は払拭されていない。高いハードルを設定して、地元を説得する材料にしようとしたようだと、文書はこのあと記述している。
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この経産省の文書を読む限りでは、同省は、原発の安全性に必ずしも全幅の信頼を置いてこなかった、ように読める。これ、わざと目立つところに置いてたりして(笑)。
むしろ、技術の未知性や恐怖感などを総合的に判断する一般の人々のリスク認知の方が、専門家による定量的なリスク評価よりも広い観点からリスクを捉えているとの考え方もある。原子力発電所の耐震安全性と、国民の安心感の両方を高めていくためには、こうした一般の人々のリスクの捉え方を、専門家が理解して、「耐震設計審査指針」の改定や、「安全目標」、「性能目標」の策定の中に取り入れていくことが必要である。さらには、こうした指針や目標にしたがって、原子力事業者が安全確保の責務を果たしているということを、国が十分に審査し、原子力事業者に依存せずに、安全確保を主導できる体制になっているのかどうかについての議論を深めることも必要であろう。なるほど最後の一文がポイントか。腑に落ちた(笑)。
冗談はさておき。
経産省内部にも、慎重意見はあったこと、一旦事故がおきれば長期にわたって手間のかかる原発に対して、正常な危惧の感覚が働いていることを、この文書から読み取ることはできる。
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