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2011.03.06

「死にゆく妻との旅路」

静かに泣ける映画。私的にも似たような経験があれば、なおさら。最期くらいずっと一緒に居たいという妻の一途な想いにうたれる。同時に、病院で死ななければ正常な死と認められない異常な世の中に、その半面の誤りと半面の正しさを見せる。以下ネタバレ。

癌で亡くなる人は、今でも相当数いるだろう。だから、この映画に共感できる人は少なくないはずだ。末期癌のやるせなさや痛み、周囲の疲弊などは、お馴染みのものと言えるかもしれない。

しかし、この作品は、あまり悲痛さを見せない。むしろ、人の最期を看取るための真摯な行動を、少し暖かいまなざしで描く。仕事本位社会とでも呼べるある種の異常さの中で日常を送り、そのおかしさの自覚に欠ける観客に、本来の人の生き方についての見方を与える。家庭を守る女性には、よく見えている世界かもしれない。良寛の句がふと口をついて出るのも、舞台が北陸だからというだけでなく、仕事漬け人生への穏やかな抗議からだろうか。

旅の途中の風景の美しさ、北陸の雪の静けさがよく似合う、良作。

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