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2011.02.12

「太平洋の奇跡」

派手な銃の撃ち合いや巧妙なゲリラ戦、あるいは驚くようなストーリー展開を期待すると、あてがはずれる。むしろ、主人公大場大尉の、「節度」が光る佳作。われわれが失いつつある、日本人の節度をじっくりと味わいたい。以下ネタバレ。

主人公の節度と対比するかのように、この映画ではいくつかの典型的激情が示される。任侠出身のような一等兵、肉親を殺された復讐心と折り合いがつかない看護婦、皇軍兵士の心得として教え込まれた鬼畜米英思考に忠実なあまり、そこから一歩も出られない副官、戦争の早期終結のためなら同胞を罠に掛ける提案も厭わない元インテリ投降兵。

それらと共存しつつ、200名を超える集団を500日余りにわたって統率し、戦争終結の報を受けて、整然と投降した主人公の、ほぼ唯一の武器は、バランス感覚。古い言葉で言えば節度、ということになるだろう。
何か新しいことを興したり、発展させるには向かないが、難しいといわれる撤退戦を戦って美学を感じさせるには、あつらえたような性質だ。

この地味で細身の男の、葛藤を抱えながらも間違いの無い決断を下す、揺ぎないかっこよさを見届けたい一本。


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