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2011.02.06

「ザ・タウン」

本物と偽者jはどこが違うか、容易に答えは出ないが、少なくとも、この作品が本物であることはわかる。家業として、犯罪を生業としながら、そこを抜け出し、人並みに陽のあたる生活を願う男と、犯罪以外の生き方など想像もできない、暴虐ではあるが仲間の結束を重んじる友と、そして主人公の願いに希望の火を灯した女と、それぞれの立場と心情の間に生まれる葛藤を丁寧に描いた力作。以下ネタバレ。

ストーリーだけを取り出しても、キャラクタの設定を見ても、まことに定型的な作品。だからこそ、丹念に描き出されたそれぞれの心の動きと運命の歯車とが、この作品だけの個性を浮き上がらせる。リアリティの創造といってもいいかもしれない。この人物像なら、なるほどそう言うだろうし、そう行動するだろうと思わせるものが、この作品にはある。それ以外の展開など考えにくい、とも。

そうしてはじめて、登場人物の願い、憤り、哀しみ、希望など諸々が、観る側に伝わってくる。名作というのは、つまるところ、発想の斬新さではなく、そうしたリアリティの創造如何で評価されるものかもしれない。もちろんそれは、リアルな現実そのものともまた異なるものなのだが。

花屋周辺のどす黒さは、犯罪社会の掟を暗示するが、そこに深入りし過ぎずに、不要な殺人はしない主人公グループのある種の身奇麗さ、最小のリスクで仕事を遂行するプロ意識などに焦点をあてたことで、このような結末が可能になった。その一方で、主人公の両親の謎の過去を終盤で明かすことで、離脱の際の復讐を正当化する理由を、最小限にそぎ落として与えているあたり、うまい。原作があるとはいえ、ベン・アフレックは脚本にも関わっているそうで、俳優としてだけでなく脚本・監督の才も窺わせる。

もし、ストーリーの中で、裏社会の黒い部分に触れすぎてしまえば、悲劇的な結末に導かざるを得ないところだが、それをうまく回避して、普通の社会人としての観客に仄かな共感まで呼び起こすことに成功している。そこが、例えば同じクライムドラマの「LEON」などとは異なる点だ。LEONの主人公が生き延びる結末など、観客には到底受け容れられないだろうことを考えれば、この作品がそこをうまく工夫していることに気づく。

主役のベン・アフレックと、相棒役のジェレミー・レナーが、入魂の演技。すばらしい。恋人役のレベッカ・ホール、そのほか、脇役陣もぴったりはまった演技。中でも、固い結束を最後に裏切る女の役を務めるブレイク・ライブリーが、主人公達が生きる世界のやるせなさを滲み出させる演技で、出色の出来。

文句なしの一本。観る価値あり。

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