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2010.11.22

「ラスト・ソルジャー」

邦題は、作中のある印象的なシーンを切り取って付けたのだろうけれど、原題の「大兵小将」の方が作品全体をよく表している。今年の旧正月に中国で公開され、アバターに次ぐ大ヒットとなった由。ジャッキー・チェンの個性あふれる親しみやすさ剽軽さに加えて、しっかりしたストーリーとドラマがあり、名作の風格さえ漂う作品。誰にでもお薦めできる。以下ネタバレ。

戦国の世に、衛の国に生まれた二人の貴人と、敵対する梁の国の農民との、奇妙な道中譚。衛の二人は同国人にもかかわらず敵対している。うち一人の衛の将軍と梁の農民の二人は、戦場での敵どうしであり、衛人は梁人の捕虜にもかかわらず、道中の苦難を共にするうちに、互いに理解を深める。という敵味方関係が複雑な構成。これに山賊も一枚加わって、物語をほどよく動かしていく。

ジャッキー・チェン演じる梁の農夫が、衛の将軍に「小さい奴」と言われ続けながらも、狡猾なところもあるが欲のない、憎めない人物像になっている。生き延びることの大切さ、生きることの楽しさが農夫の全身から溢れ出しており、名の為に死ぬことをすぐに考えがちな衛の将軍を、次第に感化していく。農夫がそうした生き方を選ぶ理由が、最後に衛人の運命を決める理由にもつながっていて、うまい。

ここまででも十分名作なのだが、この映画にはまだ後があった。それは見てのお楽しみだが、農夫が衛人と別れたあと、なぜそうした行動に至ったのか、考えるほどこの映画の深みが増す。

映画人ジャッキー・チェンの円熟をたっぷり楽しめて、お腹いっぱいになる一本でした。


[おまけ]
ところで、この「衛」も「梁」も、戦国七雄には入っていない。ネットであちこち見てみると、当時の中国大陸は都市国家のゆるやかな連合だったらしく、小国がのどかに争いあっていたらしい。そこへ、統治技術の発達した(官僚制法治国家としての)秦が勢力を伸ばしてきたという情勢だったようだ。

この映画の主人公は、争いはあるが基本的にのどかなリパブリカンの時代が、中央集権的で官僚国家の時代にとって変わられることに、異議申し立てをしたのかもしれない。


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