「雷桜」
蒼井優の野生児ぶりを見るアイドル映画。お話はいまいちだし演技はうもうないし声はもともとあれだから思いっきり叫ぶシーンばかりだけど、赦す。蒼井優だから赦す。はじめのあたりで殿と取っ組み合いの喧嘩をするときは、蹴りをしっかり急所に叩きこんでいたし。以下ネタバレ。
このお話に入り込んだり感情移入とかはとても無理だけど、一歩引いて分析的に見てみると、いくつか含みのある展開であることに気づく。
母、という存在がキーになっている。殿は幼い頃の母の仕打ちがもとで精神が不安定。一方、雷は、もともと母を知らない。義父と山に育てられた野生児だ。
普通、そうした境遇だと、母の愛を知らずに可哀想ということになるのが定型だが、この映画では、それが自由と解放を意味しているところに含みがある。「殿」が因習に縛られた世界システムの頂点に位置する存在であって、それはどうにもならない「定め」なのだという台詞を、雷の母の口から言わせている。これは、とりもなおさず、母という存在が子供にとって抑圧であり、社会性を身につけさせる躾とは、裏を返せば自由の制限でもあり、さむらい村の掟もその電波に乗せて同時に刷り込まれる、ということを言っているようだ。
その「母」の束縛を経験することなく成長してきた雷と殿との、これは同類どうしの愛のお話だ。そして、結局は束縛から逃れられない殿と、それよりは自由な雷との悲恋でもある。ここでしかし、雷が定型どおり女々しく自害などせずに、勝手に山へ帰ってそこで暮らすのは、例えば「もののけ姫」と同じで今風だ。
といったことをなどをつらつら考えているうちに、映画は終わる。山へ帰ったその後がエピローグで触れられていて、落とし所としては悪くない。
なぜ蒼井優がいいかというと、中学のときのクラスの人気者女子にそっくりだからだ、ということに雷に打たれたように気付いた一本であった。エンディングの桜が美しいなあ。
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