「カラフル」
観ている方がこっぱずかしくなるような本物。本物とは元来そういうものだった、ということを思い出させてくれる。引き合いに出して申し訳ないが、これに比べると、最近のジブリ映画がいかに商業的な作り物に堕しているか、わかる。以下ネタバレは読まずに映画館へすぐ行くが吉。
もちろん、斜に構えれば違う描き方もあるだろうけれど、ここは素直にこどもの本音に心打たれてみたい。そこへ至るまでの、まどろっこしいほどの遠回りな展開が効いている。
お話の流れにあわせて挿入される絵が、アニメにありがちなおざなりなものではなく、本物の質感を持っているのも嬉しい。その場面が伝えたいことをしっかり語っている。
背景を形作る絵もよい。アニメーションということに囚われて変に動かすことばかり考えなくても、印象的な静止画で背景をつくる方が効果的な場合もあることを、眼にわからせてくれる。一方、動く水の表現はCGだと思うけれど、こちらも透明な清涼感がよく表現できている。
エンドロールで始めて知る声優にも驚く。あの女の子はあの人ですか、とか、あのお母さんは、とか、観たあとのお楽しみ。それから、後で公式サイトを見たら、監督さんは「河童のクゥと夏休み」の人だった。なるほど納得。
親から徐々に自立をはじめ、現実の裏表に心の中で悲鳴をあげながら、ふと間違って境界を越えてしまった、多感な年頃のこどもが、自尊感情を培いながら、他者の尊重を同時に覚え、コミュニケーション能力を得ていく過程を、丁寧に描いた作品。そこで家族が果たす役割の大切さにも眼差しが及んでいる。
フジテレビはこれで、「アマルフィ」で地に落ちた評価を、多少は回復できただろう。
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