「ルー・ガルー」
京極夏彦原作のはずだが、期待したほど面白いお話ではなかった。むしろ陳腐という展開。しかし、けだものであり破壊者であるルー・ガルーを肯定的に描いている点で、閉塞した今の社会に一石を投じているとはいえる。以下ネタバレ。
原作はライトノベルだそうだけど、こういうお話なのだろうか。京極夏彦であれば、もっと面白い書き方をすると思う一方で、ラノベというマーケットに最適化して書いたのかもしれないという思いもよぎる。
一番悪い奴、というものを無邪気に信じているらしい主人公達の行動は幼い感じがする。監視社会を悪に見立てるのは簡単だが、それを望んで作り上げているのは、どこかの悪人ではなく、自分の中の要請なのだから。
この作品で見るべきところがあるとすれば、ルー・ガルーが「まるで肩をたたくように」、ためらいも無く普通のことのように人を刺すことを描いた点だろう。そのとき、ルー・ガルー自身に迷いはない。万一自分の判断が間違っていたら、という逡巡が全くないのだ。芝居じみた繰言や弁解もない。
これは恐るべきことだが、一方で、これくらいでなければ閉塞を打ち破る破壊者にはなれそうにない。小説や映画のタイトルが「ルー・ガルー」になっているのも、その一点に目を向けさせるためだとも思える。
これを単純に楽しめないなんて、自分も年寄りになったと実感できる一本でした。
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