才能に飢えているなら
映画「借り暮らしのアリエッティ」のメイキング番組を見ていたら、「才能に飢えているのはこの僕」みたいなことを、老監督が言っていた。この映画で、新しい才能が見つかったようで、まずはめでたい。
で、ひねくれものの私は、ここで喧嘩を売って・・ではなくて、遠吠えなどしてみる(笑)。
正直に言うが、私は「アリエッティ」に比べて、「ヒックとドラゴン」の方が数倍すごいと思う。CGなのにだ。人の表情はアリエッティの方がよく描けているのにだ。
例の怪物が、ヒックとトゥースを追って雷雲に囲まれた暗い空に現れた時の凄みは、ジブリがこれまで作りだした最高のシーンのいくつかに匹敵する。
あの巨大な怪物を、引いて描いているのだ。それなのに、物凄い存在感。まだ遠くにいて、向こうを向いているのに、こっちに気付かないでくれと思わず声を殺して呟きたくなる。背景の雲も凄い。
ああいう、恐怖を結晶させたような一幅の絵が、どうやって生み出されるのか、その方をむしろ知りたい。
あのシーンだけ、手描きなのだろうか。
さらに、この場面に力を与えているのは、画力だけではない。あの怪物が顕わすもの、西洋で近代国家が生まれて以来問題にされてきたものが、はっきり込められている。と思う。
アリエッティに、そういうところは、あっただろうか。むしろ、そういうものとは距離を置くような物語だったのではないか。「見られたら引っ越す」のだから。
「ヒックとドラゴン」のような、一見軽い作品に見えて、裏に凄いものを隠しているような作品を、次はぜひジブリの手でつくってほしいと思います。
もちろん、アリエッティも水準以上の映画ではあったけれど。
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