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2010.08.28

「東京島」

これは面白い。理路整然と言うのは難しいけれど面白い。栄枯盛衰毀誉褒貶臥薪嘗胆男女平等ほかいろいろまじりあっていてどこに反応するかは観る側の自由。予測できない面白さ。必見。以下ネタバレ。

見果てぬ欲望を追って島から脱出するか、それとも平和と安寧を求めて島に籠もるか、それが物語の主軸になる。それに沿うように、男と女の地位の入れ替わりと、島のメンバー間の主導権争いによる登場人物の浮沈が絡む。島という限定空間だが、都度ごとに新しい要素が外部から放り込まれて、一度固まったかに見えた権力構造を二転三転させる。まるで現実世界で右往左往する私達の縮図のよう。

この作品の面白いところは、権力闘争の流れが変わるたびに、取り上げるテーマが移り変わっていく点だ。最初は島で唯一の女性の希少性を巡る展開、次に、リーダーのタイプを巡る展開、外部集団の出現による和戦の選択を巡る展開、宗教勢力の伸張による女性の地位低下、再び外部からの撹乱要因に対応を誤ったリーダーの権威の失墜、妊娠による女性の復権、ほかにもテンコ盛りで色とりどり。

現実世界のパロディの色合いが濃いこの作品は、今の日本が抱える様々な課題を盛り込んでいるけれど、同時に、タイムスパンも複数取り入れている。長くは大和朝廷成立に遡る大きな流れかもlしれず、短くとれば、せいぜいバブル崩壊以降の縮図でもあるかもしれない。

一切合財がないまぜになって、飽きさせない。加えて、孤独な生活を貫く変わり者の存在も、狂言回しとして効いている。

終盤は要素がやや唐突に多くなりすぎて、多少混乱した感じもするが、これはこれで、国内の国際化のとばくちに立っている我々の多様な社会像を先取りしていると見えなくもない。

外向き、内向きのいずれが勝ると結論を出さずに、結局、両者を双子のように扱った終わり方もよかった。考えてみれば、どちらか一方だけを称揚する必要はないのだった。自分の道を行けばそれでいいことなのだ。
なお、最後に中国人のリーダーと日本人のリーダーの卵が、同じ島という狭い空間のなかで折り合いながらも、過去の経緯に複雑な表情を見交わす、示唆に富んだ場面もある。

様々なイメージを刺激される、面白い作品でした。

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