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2010.07.18

「借りぐらしのアリエッティ」

ジブリっぽいというべきなのか、全くそうではないと言うべきなのか、迷う映画。ファンタジックな世界を楽しめる点で、誰にでもお薦めできる小品というところか。以下ネタバレ。

ほろりとさせる何かを、観たあとに残すところは、さすが。その一方で、あまりに定型的過ぎないかという警鐘が心の中で鳴ってしまう。病弱な少年、仕事で忙しく経済力はあっても影の薄い親、代々受け継がれた古い家、悪人ではないが教養なくロマンを解さない奉公人。一体いつの時代の設定なのかと思う。

小人たちは確かに、知恵と工夫に生きている。科学と産業と政治の世界とは対極の生き方だ。それを好ましいと思う観客の気持ちに、この映画はぴったり寄り添ってくる。マーケティング的には十分練られている。

その点に、しかし私は違和感を覚える。むしろ、好奇心から小人を捕らえようと下品なバイタリティを見せる奉公人の方が、私たちに近い存在だ。このお話がファンタジーであるのは、その反対側の心象を描いているからこそであり、原作がおそらくは小人たちの強靭な生き方を中心に描いたのとも、違っているのではないだろうか。

ラピュタやもののけ姫をつくり出してきた宮崎アニメが、結局ここに行き着いたのだとしたら、どう思えばいいのだろう。歳とったな、とでも言えばいいのだろうか。

とはいえ、あまり深く考えずに、魔女の宅急便と同じく、幕間のちょっとしたお楽しみと思えば、十分に楽しめる作品ではあります。ジブリとかハヤオとか聞くだけで要求が数段跳ね上がるのは、観る側のわがまま。


残念ながら、絵については、やはり少し落ちるように思う。ここが見せ場だなと思える演出はあるけれど、そこで画力が追いついていない。と、贅沢ぶちかましておきます。ポニョのときの、老人ホームの玄関の嵐の予感を描いたカットのような、鳥肌立つような凄いものは、この作品にはない。が、そこまで求めなくても十分な質の、観て損はない一本でした。

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