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2010.06.27

「告白」

喪失や孤独に弱い人々の行き違いと連鎖反応を描いた作品。技巧的で、作品内に入り込めば、その巧みな仕掛けを楽しめる。作り手もそれを意識しているのか、ホラーやミステリでよく使われる思わせぶりな見せ方は一切なく、観る側が、この作品の真髄だけをクリアに感じ取れるようになっている。その面白さは原作由来とはいえ、映画としても最高によく出来ていると言える。以下ネタバレ。

とはいえ、扱われているモノがモノだけに、現実に立ち返った目で見れば不健康極まりない。海のように平凡なる包容力と緩衝材に満たされた現実の世界では、普通は起きない連鎖を、センシティブな一群の人々を一箇所に集めることで無理やり反応を起こさせた感が強い。それが、技巧的に感じる理由だろうか。
普通のコミュニケーションがある場では、行き違いはたちまち修正されて、こうしたことは起きない。そう考えてくると、喪失や孤独に対する耐性と、コミュニケーション力の強さとは、相関があるのかもしれない。

それにしても、悲惨な連鎖の発端となった事件は、起爆剤として十分なパワーがあり、その当事者の苦しみを、松たか子がよく醸しだしていた。最初の告白の能面のような表情と、巡りめぐって最後に復讐が成就した場面の、苦悶と喜びの表情が、たいへん印象的。歪んだ喜びという言葉そのままを、スクリーンいっぱいに表していた。

現実の学校空間というものが、いまどうなっているのかよくは知らないが、”恐るべき子供たち”のようなマスコミの煽り文句とは異なり、大人が本気になったときの怖さと悪賢さは、子どもなど遠く及ばないものだということを確認して、なんだかほっとしたような気分になった。

観た満足を感じられる、上出来な一本でした。

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