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2010.06.19

「ザ・ウォーカー」

世界の破滅の後、残された一冊の本を西へと運ぶ男と、それを阻み本を手に入れようとする男の対立の物語。全編モノトーンに近い映像世界。あまりにも渋い一本。以下ネタバレ。

予告編を最初に観たときに、その本が何であるかは、すぐにわかった。おそらく大半の観客が、それは諒解の上で観に行っているだろう。だから、ストーリーもおおよその見当はついていた。衆寡敵せず”ウォーカー”が、道半ばで撃たれるあたりまでは、なんとなく読めていた。そこで終わってしまっては映画にならないから、問題は、そこからどのような結末へ観客を導くか、にあった。

観終わったあとの感想は、なるほど、というものだった。主の御業は偉大なり。

多少奇跡に近いところはあるけれど、さほど宗教掛かったところはなく、むしろ人の在り方として共感を得やすい終わり方になっていた。なにより、阻む方の男の野望がどのように断たれたか、その着想がよい。健常者はそこになかなか思い至らないものだが、大多数の人の視野に入りにくい人たちも、実は少なからずいるのだということに気付かされる。それが、運ぶ男が到達した普遍的な真理とぴったり一致して、感動を呼び起こす。

人は物事の真実を、目にしていても見てはいないものなのだ。作品中ではそのことが隠喩的にたっぷり表現されていながら、さりげなく置かれていて、最後に爆発的に気付かせるところがうまい。

3D映画がいまのところ技術寄りで、物語の薄さが気になる昨今、その不満を埋め合わせてくれるよい作品でした。


ところで、日本語公式サイトの、作品情報:インロトの部分が変です。映画を観たあと、公式サイトで二度味わうのをいつも楽しみにしている人のために、こうしたところもきちんと作ってくれるといいと思います。

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