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2010.05.01

北信行100501

今回は短い日程。最長でも5日間だが、東京に戻ってきて1日は余裕が欲しいから、実質はもっと短くなる。前日、断れない宴会で夜更かしして、朝起きたのが5時。あわてて荷造りして6時出発。
例によって、環八を北上40分、練馬インターから関越に入って、藤岡Jctからは上信越道。途中、横川SAで朝飯。普段は揚げ物か何かを立ち食いしてお茶を濁すのだが、レストランで朝食バイキングというのをやっていたので入ってみると、これが意外に充実。値ごろ感も考えて工夫しているようだ。

最初にして主要な目的地は、長野県小布施町。ここは草の根的なまちづくりが根付いて、それがこれまでのところうまく行っている、日本にしては稀な成功例なのだ。
今年に入ってから、こんな本まで出ている。

小布施PAからETCで直接出ると、すぐに土産物屋など観光施設があるので、とりあえず見物。この千曲川ミュージアムは、十年以上前に一度寄ったことがあって、その時は、地元出身の切り絵画家さんだかの常設展示館にする構想があると聞いたが、残念ながらその計画は実現しなかったようだ。まちづくりは成功したり失敗したりの積み重ね、ということか。

隣接する公園を見ていると、ここが観光客よりはむしろ地元の人たちによく利用されていることがわかる。我々都市の人間には、地方には自然が普通にたくさんあって公園など必要ないと思いがちだが、そうでもないらしい。

鉄道駅に寄ってから、さっそく町の中心部分へ。せいぜい数百メートル四方しかないこの修景を施された地区が、この町らしさが一番よく出ているところ。歩いてみると、普通の他の町の雑然とした感じとは確かに違う。巨大広告板がない、電柱がないか目立たない、木レンガの舗装、建物のちょっとした佇まいが違うのだろうか。

よくある歴史的まちなみ保存地区のような、一種映画のセットのようなものとも違う。きちんと町の住民の生活があった上で、整った感じを与えている。

こうしたものが、どのような取り組みによって出来上がって来たかは、上述の本に詳しいが、その中からいくつかの文章を、順不同だが引用しておきたい。

小布施のまちづくりは、高度経済成長を契機とした近代化・工業化・都市化がもたらす新奇なものに飛びつく風潮への抵抗からはじまった。先祖から受け継いで生活の中で磨き上げられたものの価値を再発見して、将来にわたって大切に使いつづけようという運動だった。 たとえば1980年代、90年代の同じ時期に、次々に大規模施設の建設と経営に手を出して、結局、膨大な累積赤字で財政破綻した北海道夕張市などとは対照的だ。

* * *

五者会議が原則としたのは、行政に頼らないことだった。理由は二つあった。
一つは、・・・行政の助成金には必ず限度があって恒久的に続くものではないので、事業の成果を子々孫々にまで残そうとすれば、経済的にも自立すべきだと考えたからである。二つ目は、行政はクレームに弱く、安全策をとろうとして身近なものに手本を求めること。しかし、二番煎じでは苦労も喜びも半分。喜びがなければ、運動は継続しない。・・・横並びの発想では・・アイデンティティが確立できず、さらなる目標も定まらないうちに、運動が迷走して、やがて空中分解してしまう。

* * *

まちづくりの観点から構想すれば、核となるエリアに多様な要素を高密度に混在させる必要があった。徹底的に集中させて、むらと対比をなすまちをつくらねば、だらだらと無性格な景観が広がるばかりである。

* * *

敷地境界をこえて建築と建築のあいだまで設計する仕事が建築家に依頼されることは、日本では皆無に近い。小布施の修景地区は例外中の例外なのだ。地権者たちの集まりである五者会議で議論して、望ましい都市空間を創出するために交換、賃借によって敷地境界を動かした。ここまで実行できたからこそ、五者会議の結成が小布施まちづくりの歴史でも特筆すべき出来事だといわれるのである。

* * *

金銭の授受をともなわない交換という方法を採用することで、新たな経済的負担を生じさせない。わざわざ評価手数料を支払って第三者に地価を決めてもらうこともしなかった。地価の差をいいはじめると、敷地の再編成そのものがストップするかもしれない。面子や小さな損得勘定で計画を頓挫させないために、当事者同士が話しあい納得して土地を交換する方法を選んだのである。

* * *

個人ではなく協力しあって実践すれば、日常の生活行為の繰り返しで十分に、外部から評価されるものを生み出すことができる。このシンプルな真理に小布施町民が気づいたのである。いったん弾みがつくと、まちづくり運動は急速に広がっていった。

小布施のまちづくりの歴史は、それなりに長いのだが、2000年に入ってから、またひとつ面白い試みが行われているようだ。"Obuse Open Garden"といって、町の住民のお宅の庭を、来訪者に公開してしまおうというものだ。2010年春のいま、参加者は100軒ほどになっているそうで、入り口に参加者であることを示すプレートが出ているのでそれとわかる。
P1000031

なんとも豪胆というか。町民にしてみると、自邸は”内”で、自分が自由にしてよいもの。庭や建物の外観は”外”で、公共のもの、という意識らしい。欧州的な公共の考え方に通じるものがある。もちろん100%そう思っているばかりではないだろうけれど、これが試みとして続いており、それなりの参加者があるということが驚きだ。参加者のメッセージを庭の写真付きでまとめたガイドブックまである。
P1000113

さらに、ネットの利用も進んでいて、ホームページでパンフレットがDLできるのは普通かもしれないが、ツイッターも熱心にやっているようだ。@risaikuri 4日の今日見てみたら、”つぶやくのもつかれるクリ~”と正直なお言葉。

住民が自発的にやると、これくらい熱心にやれる、という見本のようなまちづくり。
写真は例によって携帯で適当に撮ったので、いまいちだが、本物はなかなかよいです。


P1000024  P1000036

小布施は、歩いてみたいところもまだたくさんあるが、とりあえず今回はこのくらい。道を東にとって、山田温泉とその先のキャンプ場を目指す。

山田温泉は立派な外観と単純でわかりやすい硫黄泉。熱いのがよい。
P1000045

中は古色蒼然たる湯船。水道などというものはなく、あがり湯に相当するものは、写真のような仕組みで桶に汲む。普段は、木片が湯を堰き止めている。この上の部分を手前に倒してやると、下の部分は反対側に回転して、湯が流れる。手を離すと流れの力で自然に木片がもとに戻って流れは止まる。
素晴らしい。
P1000040  P1000041

体が暖まったところで、キャンプ場へ。地図では気付かなかったが、かなり標高が高いようだ。ぐんぐん上がっていく。標識には1500Mとなっている。到着してみると・・・

雪です。
となりはスキー場です。

P1000046

なんか、間違えたかも。今夜は凍え死ぬかも。
 

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