「今度は愛妻家」
写真家とその妻の日常を描いた、演劇色の強い映画。舞台は写真家の自宅の居間にほぼ限定され、そこに様々は登場人物が出たり入ったりしながら物語が紡がれる。途中であっと驚く展開があり、最後はほろりとさせられる。興行的にはもうひとつのようだが、私は割りと好きなタイプの作品。劇場も小スクリーンながらかなり席は埋まっており、一定の人気があるようだ。ネタバレ厳禁なのであまり書けないが、以下少しネタバレはもちろん読んではいけない。
観終わってしまえば、日本人が割りと好きなありがちパターンだけれど、そうは思わせない騙し方が上手い。前半は爆笑喜劇、中盤は涙を誘う悲劇、後半は触れられたくない深奥を抉る心理劇、最後は密やかな再生を見せて終わる人情劇。演劇的な空気は、映画に比べて過剰な緊張感を持つものだけど、それに抵抗がなければ、この作品は評価できる。
ネタバレに類することは書かないけれど、ひとつ間違いなく言えることは、「薬師丸ひろこは我らの永遠のアイドル」であること。この映画は、その点にかなり依拠しているように思う。皺をごまかす年齢にも関わらず、映画の中で見せる旦那への甘えぶりは、他の女優さんでは嘘臭く見えてしまうところ。この人だけが、この役を演じられる。
ダメダメでつっけんどんだけど、実は女房にべた惚れなのがありありな旦那役の豊川悦司はじめ、他の登場人物もぴったりはまっていた。
事前にネタ情報がいやでも耳に入ってしまう立場の人たちに比べて、何の先入観もなく観ることができる我々一般人の間で、むしろ評価されるだろう一本でした。
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