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2009.12.26

「AVATAR」2D

2Dでもやっぱりすごい。これはもう作品自体が傑作。もちろん3Dならなおすごい。

2Dと3Dを比較して観たいと思っていて、2回観てもいいと思える作品を待っていたところへ、この「AVATAR」が来た。迷わず2回目を観た。
作品の感想は3日前に書いたので、ここでは2Dと3Dの長所短所について、気付いたところを書いてみる。

まず2Dのいい点。字幕が気にならない。これは案外大きい。
3Dの字幕は、目にねじ込んでくるような押しつけがましさがあって、非常に邪魔だった。字幕が頭の中で日本語をがなりたてるので、英語の台詞は頭のなかで粉砕されてしまって意味が取れない。そればかりか、この飛び出る字幕は映像への集中も妨げるので、せっかくの傑作がかなり損なわれる感じだ。
対して2Dでは、字幕は控えめで、ちらりと見るだけで意味を取ることは十分でき、その他の時間は英語の台詞と映像に集中できる。2Dで改めて見てみると、台詞はかなりよく聞き取れた。
たとえば、「大佐」の話し方は、ジョージ・ブッシュさんの話し方に意図的に似せようとしていたように思えたが、3Dのときは字幕が煩くてそこまで思い至らなかった。また、もうひとりのアバター「ノーム」の最初の頃の台詞には、主人公のパンドラに関する知識の少なさを馬鹿にする響きがあり、それが、ナヴィ達の「スカイ・ピープルは教えても何も学ばない」という台詞と対を成すのだが、字幕に妨害されていると、言葉の微妙な響きに気付かず、十分に味わうことができないところがある。

3D映画の評判を日本で損なわないためには、あの字幕はなんとかした方がよいのではないか。
因みに、俳優の声は映画の重要な要素なので、吹き替えは敬遠したい。

※その後、IMAX3Dも見てみたところ、IMAXの方は字幕はそれほど気にならなかった。といっても、画面が暗くなる欠点がたまたま怪我の功名になっただけのようだから、やはり3Dでの字幕の付け方はもう一工夫必要であることに変わりはない。


2Dのいい点はほかにもある。というより、3Dにさほど劣らない点か。
狭い室内や俳優のアップ、会話のシーンなどは、3Dの長所はあまり生きないように見える。これらのシーンでは2Dでも問題はなさそうだ。ただ、「クリスマス・キャロル」では顔のレリーフ風の存在感がよかったので、3D技術の活かし方に違いがあるのかもしれない。

3Dの優れた点は、いうまでもなく、雄大な風景の描写だろう。高いところからはるか下を覗き込むようなシーンでは、3Dの表現力は圧巻。焦点が合っている手前側がくっきり立体的に見えることが、遠景をより遠くに見せる点で効果的。この映画ではたとえば、翼竜の巣へ向かう途中、空中に浮かぶ小さく頼りない岩の上で一息つくシーンなどだろうか。大きな生き物やロボットも、3Dは奥行き感が出るので迫力がある。大佐のパワードスーツとパンドラの大型肉食獣の闘いのシーンなど。
意外なところでは、管制室のヴァーチャルスクリーンの存在感。これは3Dでとてもくっきりと立体的に見えていたのに対して、2Dではかなり平板に見えた。

3Dはメガネを掛けて見る必要がある。これ以前の作品では、メガネのために画面が暗くなり、ディテールがみえづらい点が気になったが、この「AVATAR」ではそういうことはなく、3Dも2Dも同じ明るさに感じた。3Dの方を明るめに作っているということはないと思うのだが。。何かの錯覚なのかな。

※これも、IMAX3Dはやはり暗いので、3D全般に言えるわけではなさそう。

メガネの意外な効用としては、映画館のスクリーン以外のものが見えなくなることがある。これは3Dだけ見ていると気づかなかったが、2Dで同じ作品を見て、エンドロールのときにはじめて気がついた。もちろん、作品が優れていれば上映中は作中に没入できるので、どちらでも構わなくはあるのだが。

3Dの今後の課題としては、技術のブラッシュアップはもちろんだが、それ以上に料金が気になる。前売り1300円に対して、200円上乗せで1500円なら払ってもいいとは思うが、いきなり700円増しの2000円(IMAX3Dなら2200円)は少々高い。それなりの本数を見るので、よほどの話題作でなければ、私は2Dで見る。
普及してくれば料金もこなれてくるのかどうか。
因みにIMAXかどうかと3Dとは切り離して考えるのがよさそう。IMAXは鮮明さが売りだから、また別の評価があるだろう。今回私は3Dの実力を見るために、IMAXは避けて2回とも普通のスクリーンで観た。


総じて、3Dは今のところ、映像の迫力に観る側が振り回されるきらいがある。むしろ2Dの方が、作品の含意を読み取りやすいと思ったのは、単に慣れの問題だけなのだろうか。

何にせよ、これで2Dと3Dの体感比較はできた。今後は迷わず、作品に応じてどちらかを選んで観ることができそうだ。


さて、仕上げにIMAXで3回目を、今度は理屈抜きで心おきなく見るか・・・2回見るともう止まらない。3回目も観たくなる。


[追記]
というわけで、IMAX3Dの感想を追加。やはり暗い。109シネマズ川崎のスクリーンなのだが、別のシネコンの普通のスクリーンで見た3Dと比較して、暗すぎる。この映画ではナヴィ達の表情が魅力的なのだが、夜のシーンでの彼らの表情が見えづらいのはかなりマイナス。最初と最後に映し出される霧に沈む森の風景なども、普通の3Dなら木々が緑に見えるのに、IMAX3Dだと黒い影にしか見えず、売り物の立体感も損なわれている。
逆に暗いことが幸いして、字幕はそれほど邪魔には感じなかったが、だからといって暗くてよいわけでなはい。
暗さを除けば、映像は鮮明で満足度が高い。

プロジェクタの光源をもう少し明るくして、字幕の彩度をもう少し落とすとか、できないのだろうか。上映側はもちろん試行錯誤して最善の設定にしているとは思うのだが、この暗さは調整の余地が残っていると思う。

 

3回目ともなるとだいぶ落ち着いて見られるので、前は見えなかったところにも目が行く。この映画が細部にもずいぶん凝っているのがわかる。例えば、決戦に向けてヘリ部隊が飛び立つとき、管制室の外のキャットウォークにいる兵士の帽子が飛ばされるとか。凝りすぎのようだけれど、注意して見るとそういうディテールがあちこちにある。
脱走の後、居住ユニットを安全なところへ移動するときに、揺れでポリタンクが倒れて、それを主人公が起こして仕舞うシーンも、味のあるディテールだ。逃亡のあわただしさと不安、その上での主人公の決意が、よく表れている。ああいうシーンは、かなり金をかけた映画でも画面を揺するだけで済ませてしまうことが多いのを思えば、この作品がどれほど細かいところまで気を配って作られているか推し量れるだろう。

これだけ観ると、さすがに満足した。忘れたころにもう一度観たい。

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