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2009.11.21

「クリスマス・キャロル」

言わずと知れた不朽の名作。何度目かの映画化だそうだが、今回も名作に恥じない出来栄え。さらに、3D技術をうまく使いこなしてもいる。

このお話しは、あくまでも主人公スクルージを中心に展開する。観客は常に彼を注視していればよい。スクルージの表情を見ているだけで作品世界に入り込める。そしてそのことが、3D技術によくマッチしている。

彼の表情はまるでレリーフのように3D化が施されている。パースの利いた尖った形はほとんどなく、穏やかな出っ張りという趣だ。これがことのほかよい。影や線で立体感を出す2Dの技法と比べてなんら遜色ない。また、無意味に目立つことがないので、物語の意味の流れを乱すこともない。

一方で、未来の精霊が無言で何かを指し示すときのように、意味を際立たせたいときは、3Dお得意の飛び出し感を遺憾なく発揮させている。3D感を単なるびっくりショーとしてではなく、物語の中で効果的に意味を伝えるよう、適切に位置付けているのが見てとれる。

今後の3D映画のひとつのモデルといってよいのではないか。

それにしても、この映画で作り上げられたスクルージの表情はよい。冷酷などとマイナス評価をつけられているが、この男は本来、よい意味での合理精神を持っているのではないか、ということが顔の造作に現れているように見える。

勝手読みをすれば、彼はお金が好きなのではなく、合理性の追求が好きなのであって、その結果が数値として表れたものがお金の形をとっている、ということかもしれない。過去と未来の精霊の印象が、スクルージの今とよく一致するのに対して、現在の精霊の描かれ方がスクルージの姿と似ても似つかないことが、それを暗に示しているようだ。


声をあてているジム・キャリーは7役をこなしているそうだが、まったく気付かなかった。注意すればわかるのかもしれないが、むしろ絵の方に心を奪われる作品だろう。3Dメガネで画面が暗くなる欠点が、この作品では、絵の背景の細部を隠して、人物の表情に集中させる長所に転じている点も、過渡期の技術をうまく使いこなしたと受け止められる。

何気によい作品でした。

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