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2009.09.22

「火天の城」

幻の城安土城の築城を描いた作品。権力に翻弄されながらも城を建てるという明確な目標に向かって一途に進む番匠の棟梁の人心掌握と職人魂を描く。お涙頂戴場面は好みが分かれそうだが、ヤマの作り方に工夫があって楽しめる。全体に丁寧な仕上がりの作品。以下超ネタバレなので読まずに観たい。


安土城の構造がどうなっていたか本当のところはわからないらしい。以前TVで、内部に数層の吹き抜けを想定した3DCGを見たことがあるけれど、この映画では、その吹き抜けをうまくストーリーの一部に取り入れている。指図争い、今風に言えば設計コンペの中で、吹き抜けを巡るエピソードは、施主が指示した設計条件をあえて否定する設計者の職能意識を浮き彫りにして、映画にひとつのヤマを作っている。

敵地にある天下一の檜を求め、命懸けの買付けに赴く姿は、材料に対する妥協を許さない姿勢を表す。番匠のその姿勢に共感した敵方の大庄屋は、最後に折れ、最高のご神木を伐り出すことを約して、そのために主の不興を買って命を落とす。

昼夜の別なく仕事に打ち込む番匠は、影のように支える妻の笑みの下に、自分が見過ごしていた複雑な思いがあることを知る。その妻も病に斃れ他界するが、番匠は一日たりとも休まず仕事を続ける。

職人たちが動かしてはならぬと恐れ敬う蛇石を、施主の命で動かすことになった職人たちたが、敵方の乱破の妨害で失敗し多数の犠牲者を出してしまう。妻の死にも休まなかった番匠が、このときばかりは全員に休みを命じる。ところが、職人達の方が休みなどいらないと言い出し、集まったところで、不同沈下の危機が発覚。力を合わせてこの最大の危機に立ち向かう。

といった具合に、お話しのヤマがいくつもあり、逐一感動させられる。少し感動疲れするくらい。大きなヤマの繋ぎ方も上手い。より小さなエピソードのアヤを同期させて一層盛り上げる。少々古臭い感覚もあるかもしれないが、古い人間である私はいちいち素直に感動した。

岡部又右衛門役の西田敏行と、その妻役大竹しのぶが、主役にふさわしく味のある演技をしている。この又右衛門と心を通じる大庄屋甚兵衛役の緒方直人も好演。脇役陣もぴったりはまって作品を盛りたてている。番匠の娘役の福田沙紀の無駄なアップは、少しわざとらしいヒロイン像づくりだがご愛敬。

しっかりしたつくりで2時間きっちり楽しめるよい作品でした。

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