雑記090930
モラトリアムのお話しは、いろいろ考えさせられることがある。過去に実行された金融機関の救済の話しとの相違点を考えると、うそ寒い気分になるけれど、それを言う人は少ない。大手の自動車会社や電機会社へのあからさまな政策的支援も、根は同じ。
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「中小零細企業の地獄。」
銀行側が、「皆さんからお預かりしているお金を運用しているのでもっとも、この記事は後半の方がずっと重要だけど。
モラトリアムのような一方の利益に与するわけにはいかない」などといった
反対の理由を述べているのを聴くと、では俺たちが預けた金をいままで
どんなふうに運用してきたんだといいたくなる。
銀行の重要な存在理由の一つが信用創造であることをもう一度噛み締めてもらいたい。
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「亀井大臣の「モラトリアム」は実はあんまり使われないんじゃないか?」
銀行員にいくら聞いても「制度を利用したからといって不利な扱いを受けるということはないです(が)」と言うに決まってます。「(が)」の一文字が肝心なところ(笑)。上の記事のコメントにも興味深いものがいくつもある。
一方で、背に腹はとも言うし。猶予期間内に立ち直ってしまえば、それはそれで金貸し業にとっては立派なお客さんではある(はずだ)し。
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「迷走するモラトリアム論議」
中小企業金融というのは、基本的にハイリスク融資であり、かなりハイリターンでない限り、事業としては成り立たない。一貫した主張の予測どおりというところでしょか。
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ノンバンクをサラ金と一緒ににつぶしたことによって、金利の期間構造(短期と長期の金利の相関)にゆがみが生じて、ローリスク・ローリターンの大企業金融と超ハイリスクの闇金融しかなくなり、まんなかの年利15~30%のミドルリターンのビジネスが成り立たなくなってしまいました。
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結局、ほどほどの線に収める方向だそうで。
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「「亀井モラトリアム」の行き着く先」
左を挙げたら右も挙げておかないと。というか、この辺りが主流の意見と思ってよさそう。
信用保証協会は知っていたけど、「企業金融支援特別オペ(モンスターオペ)」というのは不勉強で知りませんでした。これ、金融機関で滞留したりしないのかな。
こうした支援策が講じられていても苦しい中小企業というのは、資金繰りというより、構造上の問題を抱えている可能性が高い。
因みに、銀行の救済と今回のモラトリアムとの違いもはっきり書かれている。
中小企業の資金繰り支援は所得再分配を目的とする財政の仕事であり、資本の効率的利用を目指す金融業の役目ではないためだ。手許に中小企業を助ける資金(=税金)がないから、それを民間資金で行うというのは明らかに「政府の都合」でしかない。銀行も中小企業も、それぞれ国負担で支援する施策は使うけれど、民間金融に支払猶予を強制するのは、筋が違うと。
さて、それを読んだ上でなお、「中小企業が抱える構造的問題」という言葉が、やや曲者だと思う。なぜなら、産業の二重構造と関わりがありそうだから。
再び、このエントリの最初の引用記事に戻る。
「中小零細企業の地獄。」
俺は、ひとりの経営者として、経営の不振を景気のせいだと
いうことを潔しとしない。それはあくまでも、経営者の問題であり、
その経営者に率いられた会社の問題である。
しかし、この間の中小企業の経営状況の悪化に関しては、経営環境の変化を
問題にしないわけにはいかない。
問題は仕事が回るシステムが崩壊してしまっているということである。
このことの意味は、ビジネスの現場の生態系が壊れつつあるということである。
「構造的な問題」という言葉は、より具体的に言えば、「ある程度継続的に利益を上げられる構造を持っていない」、あるいは「ある程度の環境変化に対応して自身を変化させる機能を内在させていない」といったことを指すのだろう。
それが、中小零細企業自身だけの問題なのかどうか、私はよくわからなくなっている。
大多数が乗り切れる「ある程度」を越えてしまっているらしい状況が問題なのかもしれないが。
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