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2009.09.17

北海道行記090917

P1000004よく晴れている。天気予報では曇りときどき晴れ。まず天人狭へ向かう。昨日通った旭岳行きの道を途中から南に折れる。終着点は山あいのこじんまりした温泉街で、幸い空いている駐車場脇にバイクを停めさせてもらう。宿の人の親切に感謝。渓流沿いのなだらかな道を徒歩で羽衣の滝へ。これがなかなかの滝。
 
 
 
Hagoromo7段に分かれていて、おまけに途中で2沢が合流している。いわば川の合流点が滝の途中という珍しい滝。見る方向によって、この7段が見え隠れする。プロポーションがとてもいい。上の方は短く、下るにつれて長くなって、聳え立つ感じがいや増す。
Wikipediaによると、以前NHKの放送で何度やってもカメラにその全容が収まらない光景が放映された、のだそうだが、なるほど一番上の段を入れると右から合流してくる段が見えない。右を入れると上が隠れる。天女のチラリズムか。ということで羽衣の滝と名付けられたのだろうかと、勝手な想像をめぐらす。本当は違うお話しがあるらしい。

あちこち移動しながら、その奥ゆかしさを楽しむ。規模も270Mと国内第二位だそうな。雄大さと奥ゆかしさが居合わせた、稀有な滝というべきか。

この奥に敷島の滝というのもあって、こちらはごく普通の滝だが水量が多く豊かさを感じさせる。先客がいて、のっそりとその横に立つと驚かれた。熊かと思ったとか。失敬な。とはいえ、登山者のドレスコードを見事に無視した服装なので、何者かと思われていることは確か。バイク乗りが8割、山歩きが2割だから、バイク優先なのは仕方がない。バイクで風を切る環境は案外過酷なので、それに対応できる服装は、機能的には登山者のそれと比べて全く遜色はないのだが。

その先客はといえば、結構金のかかっていそうな、しかし上品できちんとした登山者のなりをした、年配のすらりとした女性。アンチエイジングというのだろうか、年寄りくささを排した出で立ちで、話す口ぶりも落ち着いてしかも声に艶がある。最近、こういう年寄りが多い。ぱっと見には若い女性とみまがうのだが、よく見れば肌の張りや輝きは若者のそれではないので、それとわかる。話してみれば、若者とは比較にならない豊かな含蓄があり、楽しいのが困る。こういう人達が増えていくと、だんだん若者の居場所というものが減ってしまうのではないか。といって個々の人を目の敵にするのも気が引けるのだが。


温泉街まで戻って見ると、気温もあがって空は快晴。次の目的地は美瑛なのだが、今日は予定を変えてもう一度、旭岳にチャレンジしてみることにする。道を少し戻って、ロープウエイ駅へ。すでに10時を回っているので人が多い。ゴンドラは朝の山手線並み。”駆け込み乗車はおやめ下さい”とかアナウンスが流れそうな。

◇◇◇◇

P1000025上の駅を出て、昨日とは別方向へ歩き出す。姿見の池を過ぎると人がめっきり減る。とはいえ前後200Mくらいに人影が見えている程度。案外多い。
6合目あたりまではまだ雲はかかっておらず、見降ろせば雄大な風景が広がる。しかしそこから上は、だんだんガスがかかってきて、8合目から上はまったくの視界不良。山頂から姿見の池まで一直線に下る地獄谷という谷筋がガスで充満して、そこから霧があふれ出しているようだ。下から見上げていると、ときどき山頂のガスが吹き払われたりしていたのだが、あれは早朝だけの現象なのか。
 
 
P1000027P1000035_2P1000032

◇◇◇◇

P1000041_2昼ごろに山頂に到着。一面霧で気温も低い。視界はゼロ。予想はしていたので、霧が晴れるのを期待して、15時まで待つことにする。座って昼ごはんを食べてしまうと、人も居らず暇だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
P1000051_2地獄谷の45度程の傾斜を見降ろしても霧でなにも見えない。すぐ近くの岩を凝視していると、横に動いて岩と岩の隙間が狭まるような錯覚に陥る。そういえば、ギリシャ神話でイアソンが金の羊毛を取りに行く話しがあって、その道中で、動く岩が行きかう船を挟んで砕く海峡のシーンが出てきたけれど、あれはアルゴー船の船員達が、海峡の両側に迫る断崖を霧の中で見て、動いていると錯覚したのではないかと思ってみたり。しばらくイアソンになりきってセイレーンと戦ってみる。

イアソンごっこにも飽きたので、次は交通量調査員になってみる。地面に座って人が来るのを待つ。この山頂へは、黒岳方面からと姿見の池方面からの2通りの登頂路がある。ものの数分もしないうちに、黒岳方面から賑やかな人声が聞こえてくる。

霧の中から現れたのは、ガイドに前後を挟まれた10名ほどの高齢者の団体。みな意気軒昂で、冗談など交わしながら楽しげだ。突然誰かの携帯が鳴って、聞いていると仕事の話らしく、山上の清浄な空気がみるみる俗世にまみれる。この異界にまで電波を届かせるdocomoはさすがだが、ちとやり過ぎではないかとも思う。当たり前のように圏外になっているsoftbankは偉いのかどうなのか。

しばらく休んでから、ご一行はゆるゆると出立。降りは筋力が衰えてきた高齢者には少しきついかもしれない。事故のないように祈る。

また一人になったと思う間もなく、今度は姿見池方面から若者1名。しばらく置いて黒岳方面から中年1名。山頂交通量調査は大忙しだ。

若者の方は、シュラフまで持った重装備で、それとなく聞いてみると今日は山中で泊まるつもりだという。”氷点下ですけどね”と笑いながら言う。友達にいい装備を譲り受けたので、そのテストも兼ねているそうだ。ここから左へ下っていった中岳温泉あたりで野営とのこと。世の中には凄い人がいるものだと感心。中年1名の方もこれまたすごい。今日は朝5時出発で黒岳側から登ってきて10時間ほど歩き詰めだという。写真はもう200枚くらい撮ったとか。早朝は晴れ間が多かったから、きっと雄大な風景が堪能できたのだろう。しばらくして、二人も出発して、また一人になる。

この間、地面にぺったりと座っているのだが、意外なことに暖かい。霧で気温が下がっているが、お尻と脚がぬくいのでそれほど辛くもない。大雪山の地面の下は永久凍土だそうだが、それとは別に、やはり夏の熱が残っているのだろうか。それとも地熱か何かがあるのだろうか。

霧の中から再び熊よけの鈴の音が聞こえてくる。黒岳方面から、細身の男性1名。少し遅れて女性1名。挨拶しても、二人とも言葉を交わそうともしない。まあ、そういう人もいる。こちらも特に居心地が悪いわけでもなく飄々とやり過ごす。

P1000054P1000057_2そろそろ刻限の15時が近づいてきた。微妙に明るくなったりしているので、最後まで期待を捨てずに待つこと残り20分。さすがにもうだめかと思った14時59分、突然、ガスがさあっと晴れて、ほんの15秒程だが、地獄谷の全貌と姿見の池、さらにケーブルの駅まで見通せた。横を見ると熊岳の山頂も現れている。こんな映画のクライマックスのようなタイミングで、期待どおりのことが起こるものだろうか。


忽然と晴れたと同じように、あっという間にまたガスが掛かって、再び山頂は白一色に戻る。何時間も待ったが、最後の一瞬で報われた。快晴とはいかず、360度の絶景までは見えなかったが、これは、また晴れた日に遊びにおいでという神様のご招待だと思っておこう。

満たされた気持ちで下山にかかる。下の駅の案内所に荷物を預けてあるので、そこが閉まる17時までに戻らなければならない。少し急いで、途中、先ほどのガイド付きの一行を追い越しながら、40分ほどでロープウェイ駅に到着。リズムに乗った降りは楽しいので疲れも時間も感じない。着いてみるともうおしまいか、という感じ。

ゴンドラは混んでいて、一台目には乗れず二台目の満員電車に乗って下まで降りる。定員は101名だそうだから、かなりの人数がこの時間帯に集中しているのだろう。

荷物を頼んで預けていた案内所の女性がこちらの顔を覚えていてくれて、嬉しそうに迎えてくれた。ありがたい。荷をバイクに積んで出発。

もう迷わずに美瑛を目指す。白金温泉というところのキャンプ場へ真っ直ぐ向かう。途中で日が暮れるが、どうにか到着。ここも国設ということで手入れは行き届いて料金は格安だ。すぐに設営して寝に就く。

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