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2009.08.16

「そんな彼なら捨てちゃえば?」

ざっと見回すと女性の観客が8割以上という、男子にとってはやや居心地が悪い映画。しかしそれを軽く受け流して観てみるだけのことはある。女の恋愛観結婚観についてお勉強する映画。以下ネタバレ。

何といっても、この映画のよさは、職場の同僚3人女のキャラがよく立っていること。お話しは、キャラが立っていさえすれば、そこそこよく見えるものだ。この映画には他に2人の女性が登場するけれど、こちらはあくまでもあて馬的役割。主役3人の彼氏や旦那を惑わす不届きな女達だが、それにスカーレット・ヨハンソンとドリュー・バリモアを持ってくるのは、贅沢とはいえ当然。というのは実は男の視点だったりする。どちらも少しふくよかになり過ぎです。女性が観客の大半ということを見越してこうしているだろうと察しはつく。

主役の3人を眺めると、ジジは、十人並みの器量、不器用、空気読みが下手、女にありがちなロマンティック妄想癖、などなど、ありそうなタイプ。それが最後はどんでん返しの成就を掴むあたり、作り手はマーケットがよく見えていると言うしかない。
ベスは、たぶん良妻賢母タイプ。控えめで男のわがままに耐性があって、適度に大人で適度にキュート。演じるジェニファー・アニストンは、男にとって理想の恋人イメージという意味で、メグ・ライアンの正統な後継者と呼びたい。そのイメージどおりに、正統的で保守的なロマンスを成就させる。素晴らしい。感動の嵐。
そしてジャニーン。前半はこの女性が一番大人に見えた。例えば高校生が新任の女性教師を仰ぎ見る感じ。途中から、それがぶっ壊れる。壊し方がなかなかいい。極度に潔癖なのだ。ジャニーンが改装業者の親方を問い詰めるところは、この映画で最もよく撮れているシーン。異論は認めない。(笑)

  ジャニーン「ところでハビエル。誰か仕事中に煙草吸っていて?」
  ハビエル(おずおずと)「そ、それは・・質問ですか? それとも糾弾?」
  ジャ(鬼気せまる笑顔で)「もちろん質問してるだけよ」
  ハ(間を置かず視線を半ば逸らしつつ小声で)「でも語尾が上がってません・・」

爆笑。

ああハビエル。可哀想なハビエル。蛇に睨まれた蛙のように怯えるハビエル。でも建設業者らしくしぶとく逃げるハビエル。君は普通の男どもの代表です。このシーンだけで十分満足しました。

ジャニーンの結婚生活のこの後の顛末は、この作品の大きな焦点だから、映画館でしっかり見届けたい。他の2人に比べて予測不能なところがよい。
そんなジャニーンを演じたジェニファー・コネリー。恐ろしさと不思議な色香が同居した破滅的な魅力があるジャニーンのキャラクタを、最後まで的確に表現した。エピローグの一瞬など最高。


さて、お話しの筋に現れるのは、いずれも美男美女でクリエイティブな職業を持つ、一種浮き上がった存在だ。しかし、所々に入れられたナレーションには、対照的に、肥満だったり醜男だったりする俳優をあてて、メインストリームの作り物感を浮かび上がらせる。作り手はそこに何を込めただろうか。ナレーションに漂うみもふたもない現実感と、ストーリーの浮遊感。その間を繋ぐかのように挿入された、職人の親方(ハビエルという名前まで与えられて)のキャラクタに、作り手が仕込んだ二重構造を感じたといったら、穿ちすぎだろうか。

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