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2009.08.23

「96時間」

この映画のルールは二つだけ。
ひとつ。娘のためなら父親はどんなことでも敢然とやってよし!
ふたつ。Do it Yourself.

少し「ボーン」シリーズを思わせる、スピード感のあるアクション映画。ボーンの場合は、暗い悲しみが背景にあったけど、この作品の底流には娘に対する父の混じりっ気なしの愛情がある。特殊工作員ものにありがちな汚れた感じがしないのはそのためか。それ一本で始めから終りまで、息切れせずに描き切った振っ切れ感がよい。父の愛は無限なり。以下ネタバレ。

元秘密工作員が、身につけた特殊なスキルを駆使して闘う相手は、普通は同業のプロということになるのだろうけど、その破壊力を普通の悪党に対して向けると、胸のすく活劇に早変わり、という美味しい設定。実際、ほぼ無敵。

いくらなんでも一人でそんなに倒せないだろうと思っているうちに、みるみる標的を絞り込み、次々になぎ倒していく。暴力シーンに爽快感と言ってはいけないのかもしれないが、娘を想う父の純な気持ちという免罪符が彼と彼に感情移入している観客をまとめて正当化してくれる。やれありがたい。

躊躇なく殺しつくして、後ろめたさを全く感じさせないどころか達成感まであるのは、この設定ならではだろう。あんまりうまく行き過ぎるので、最後のお約束、救出した娘を抱き締めるところで、虫の息の悪党に後ろから撃たれて終わりはしないかとひやひやした。

しかも、これだけの行動を、主人公はほぼ一人でやり遂げる。最初の手掛かりこそ、昔の仲間の手を借りるものの、パリへ移動してからは、完全な単独行。昔の同業者が登場したときは、かつての友情を思い出してピンチに手助けするのかと思いきや、全く逆の展開で驚く。それすら、主人公が娘に向けた一直線のスピードをいささかも鈍らせない。この辺り、狭雑物を徹底して排除していて、小気味よい。

リーアム・ニーソンのアイルランド系の顔立ちと上背は、この役にぴったり。渋くてかっこいい親父の典型を見せてくれる映画でした。

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