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2009.08.15

雑記090815

東京都現代美術館へメアリー・ブレア展というのを見に行く。
バイクに乗ってふらっと出ると、朝からよい風が吹いていて涼しい。が、秋の気配。
今年の夏は来もしないうちに去って行ったのか。

羽田の爆音を聞きながら海底トンネルを通って、お台場、辰巳経由で木場へ。トンネルのお陰で暑い都心を通らなくて済む。途中、まだ朝8時だというのにビッグサイト周辺が人混み。今日はコミケか。

三つ目通りでは、朝飯前の仕事を終えたごみ回収車が10台ほど、夢の島から続く3車線の真中1本を一列縦隊で、他を寄せ付けずに走っていく。ひとつの意志ある生き物のようだ。町割りが細かくなりはじめる手前あたりで、交差点を通過するたびに、隊列を解除してさっと左右に散っていくところは、よく訓練された軍隊を思わせる。

台東区のこのあたりは、運河と橋が多く、水の匂いがする。歩道の植木鉢が東京の下町らしさを残している。自転車を停める白線があちこちに描かれていて会員専用の断り書きがある。

といったような場所に、木場公園の一角を占めるかたちで、この美術館は建っている。

メアリー・ブレアの絵は、色遣いが独特と言われているようだ。展示されている絵は、褪色が進んだのか、残念ながらそれほどでもない。むしろ、ミューショップで売っていたデジタルプリントの方が発色がよく、致し方ないこととはいえ複雑な気分。
それでも、不思議の国のアリスのコンセプトアートはやはりよかった。アリスが花たちと話すシーンのダナミックで繊細な色が評判らしいのだけど、その隣にあった、茸の上で水ギセルを使う芋虫の絵の多彩な黄色がよい。ま、黄色がもともと好きだという私の好みはある。
ピーター・パンの絵で、夜の森の闇の中、手のひらに留まった妖精か何かの薄明かりが、少年の顔を浮かび上がらせるシーンの絵も、たいへん印象的。
こうした一枚の優れたコンセプトアートがあって、はじめて、一貫したデザインのアニメーションが作られるのだということがよくわかった。

イッツ・ア・スモールワールドのデザインを見ていて、妙なことだが「ゲルニカ」を思い出した。モノトーンに近い平面的なパーツの構成で立体を感じさせる技法が連想を呼ぶ。描かれているものも、一方は子供、一方は殺戮と蹂躙と、まったく異なるのだが、平和への想いで繋がっているように思えた。

晩年に描いたテーマパークのデザイン画を、同じ場面を描いた他のデザイナーと比較するとよくわかるのだが、メアリー・ブレアという人は、ディズニーアニメの原画を描いた人ではあるけれど、画家としてもいい絵を描いていたようだ。
割とよい展覧会だった。


おまけになるけど、常設展もなかなかよい。ソイルなんとかという、日本各地の土を小瓶に詰めてずらりと並べたものが特によかった。土の色がこんなにも違うことがわかるだけでなく、風土というものを抽象的にうまく表していた。

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