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2009.06.21

「レスラー」

その道一筋に命まで賭ける、と言えば聞こえはいいが、それしかできないという切羽詰まった裏事情を正直に描いた上で、吹っ切れた男の闘いをクライマックスにもってくる、たいへんわかりやすい作品。男なら誰もがそうありたいと思いつつ(思わないかもしれないが)、現実には無いストーリーが観客を熱くさせる。以下ネタバレ。


体が元手の仕事は、歳をとるにつれ辛いものになる。それでも支えてくれる家族がいればまだしもだが、仕事に打ち込むあまり家族を打ち捨ててきた男にとっては、望むべくもない。如才なく処世しておれば、別の仕事を斡旋してくれる知人もいたかもしれないが、それもない。別のビジネスで成功する才覚があるでもない。小金の貯えなどもちろんない。夢売り商売だから、その道で過去に成功していればいるほど、他の道への転身は難しい。

そんな、どん詰まりの男が、それでも普通の老後をひっそり送ろうと迷走したあげく、結局自分に残っているものは何かに気づき、潔くそれに殉じる。

そういう生き方は、物語になりやすいし、たまには実際にあってもいい。
プロレスという極端な仕事で描かれているから、普通の人には関わりない話しに見えるが、普通の仕事でもこうした図式は、もっと薄まったかたちで、あるかもしれない。

それにしても、プロレスという劇は、こうして舞台裏を見せてしまっても問題ないくらいに、一般にも理解されてきているのだろうか、という不純なことを、少し思った。

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