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2009.05.17

「天使と悪魔」

原作とは登場人物の役割などが変わっているそうなのだが、例によって読んでいないので、あくまで映画として観ると、前半3分の2は展開が速すぎてのっぺりした感じはあるものの、終盤で大きく盛り上がって納得させる映画。対消滅による爆発の場面は、ユアン・マクレガー演じる勇敢な司祭の落下の演出も含めて、必見。以下ネタバレは読まずに観るのが吉。


4つの謎解きは、正直なところさっぱり面白くない。占い師が、どうにでも取れる現象にもっともらしい解釈を付けて、それ以外の解釈の可能性から目を逸らさせるのと同じ感じがして、どうも乗れない。謎解きのそれぞれが1時間づつという時間制限をかけられていることが、展開を単調にしてしまったような気がする。イコンの様々な解釈をたっぷり見せてくれるかと期待していたので、その点では残念。

むしろ前半では、随所に出てくるローマの歴史遺産を楽しむのがよさそう。彫刻や建築を、スポットライトの中に浮かび上がらせるのではなく、現代の都市生活の中にモザイクのように埋め込まれているところを見せるのがよかった。例えばパンテオンは、狭い街路に囲まれて雑然としたところを映す映像が入っていて、実際の感じがよく出ていた。内部はあんなに明るくなかったはずだが、照明でも入れたのだろうか。

クライマックスの対消滅だが、この爆発シーンがよい。青い閃光のあと、サン・ピエトロ寺院が光に包まれるのかと思ったら、赤黒く毒々しい空に変わって、その中を勇気ある司祭の白いパラシュートが爆風に煽られながら降りてくる。あたかも空が割れて何か恐ろしいものが降りてくるようなその場面は、まるで最後の審判の降臨を描いた一幅の絵のようだ。群衆が支える手の中に、半ば気を失った彼の体が受け止められる場面、その後群衆が聖歌を合唱する場面は感動的。この一連のシーンこそが、この映画のテーマと展開を暗示するひとつのイコンだとも言える。

4つの謎解きの中で、4人の哀れな枢機卿が次々に殺されていくのだが、時折現れる暗殺者がこれから手に掛けようとする枢機卿に向かって口にする言葉がある。「自分は罪人です」。では彼に仕事を依頼し金を振り込んだ者はどうなのか。影の黒幕に罪人の自覚はあるか。それがこの映画の問いかけになっている。
とはいえ、最後に、長い歴史を持つ教会の大人の面も見せてうまく納めているから、カソリック教会の面目も少しは立っているのではないか。

終盤の盛り上がり方が一筋縄でいかない、満足感のある一本。

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