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2009.05.10

「キング・コーン」

既に2007年に公開されていたらしい。検索するとその頃書かれた映画評が散見される。この度の日本公開の意図はよくわからないが、米国総反省モードの中で、産業化の道を究めた農業への疑義の提示という感じはする。とうもろこし産業のありかただけでなく、それに連なる肉牛、人工甘味料などの生産と消費についても勉強になる。以下ネタバレ。

私はとうもろこしが大好物だ。バイキングのサラダバーなどあったら、とうもろこしだけ専用皿を用意し山盛りに取ってくる。ところが、その食用トウモロコシは、米国の生産量の1割もないらしい。大部分は飼料用とコーンスターチ生産用だとのこと。

そして、肉牛生産にとっては、栄養価の高いトウモロコシは、牧草に比べて短期間で牛を成長させる代わりに、酸性体質で不健康な脂分の多い牛肉を作り出してしまうらしい。また、炭酸飲料に含まれる甘味料は驚くべき量にのぼり、米国人の肥満の犯人として知られているのだが、元を糾せば、トウモロコシの生産がだぶつき、その新しい用途として、安い甘味料としての地位が確立していく中で、甘味料の濫用とでもいうべき状況が生まれてきたことに由来するそうだ。

そうした、トウモロコシ活用の歪みとでもいうべき事態はすべて、トウモロコシ生産量の増加を意図した産業政策にあったと、映画は暗示する。以前は農業補助金は生産を抑制するために使われたが、あるときから、生産を奨励するために使われるようになった。映画の中では、この政策転換を推し進めた農務長官へのインタビューもあって、興味深い。
彼は言う。「いまや、米国人の収入のうち食べ物に費やす割合は、16~17%に低下した。」それは彼の狙いどおりであり、確かに一面の豊かさではある。が、補助金無しには成立しないほど価格が安くなったのは、果たして目論見どおりだったのかどうか。

こうした事態の裏で、農家ははるかに大規模化機械化し、反比例するように農業従事者は減った。映画は、それへの疑問も強く匂わせている。


日本の米についても、減反を見直し生産性と生産量を向上させるべきという意見が注目を集めている。それは我々消費者にとっては表面上メリットのある話しだが、代償として何が起こり得るかについては、よく吟味したほうがよいかもしれない。

日本の農業の場合、新規参入の自由化云々はもちろんだが、それ以上に、農地とそれ以外の土地との間にある、税率や評価額の不自然に大きな違いにあると思うのだが、それはこの映画とは直接の関係はない。

スクリーンを見ながら、そんな風に、映画の筋とは直接関係ないあれこれを考えるのに、よい手掛かりになる一本でした。


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