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2009.05.03

北関東行記090503

キャンプ場がまだ寝静まっているうちに出発。標高は5百M程度なので、5月の朝といっても空気は冷たくはない。ここ一週間くらいは、晴天続きで気温も高めということもある。
バイクのエンジンが100%電動になれば、音もなく出発となるのだが。ウグイスの鳴き声が普通に聞けるのがよい。電車のホームで昼夜の別なく無理やり聞かされる東京とは違う。

Wikipediaによると、”「ホーホケキョ」が接近する他の鳥に対する縄張り宣言、「ケキョケキョケキョ」が侵入した者への威嚇であるとされている。”のだそうな。
スズメ目に分類され、メジロなどと間違われやすいとのこと。”うぐいす色”のあのうすい緑色は、実はメジロの色で、ウグイスの方はスズメと同じ茶色らしい。すると、昨日気絶していた小鳥はあるいはウグイスだったのかもしれない。

すぐ近くの会津田島へ。ここ南会津のあたりは食べ物が旨いという話しを聞いたことがある。なので、今日は食べ物に注目していくことにする。

駅前に一軒だけあるホテルの食堂で朝食。あさりの味噌汁だった。こんな大きなのは何年ぶりだろう。美味しくいただきました。ぜんまいも美味い。ホテル1階の裏手にお茶屋さんがあるのも気分的にこの土地らしい。
駅で買っておいた新聞を3日ぶりに読む。クライスラーは破産法11条とか。新インフルエンザは多少患者数は増えたもののさほど爆発してなさそうとか。

ホテルを出て、昔の役所へ行ってみる。旧南会津郡役所という派手な色彩の擬洋風建築があって、中では江戸時代に起きた”南山御蔵入騒動”という事件の顛末が絵入りで展示されているのだ。
年貢が4割から6割に引き上げられ、おまけに米納強制と江戸までの輸送も賦役として課されたため困窮した天領の農民による直訴事件だそうな。最後には、首謀者6名の死罪、その他直訴者全員の獄死と引き換えに、米納と賦役の取り下げを勝ち取ったとのこと。なのだが、途中経過を読むと、幕府側の威圧的な個別取り調べに農民側の結束が敗れた様子が見える。結局、税率を元に戻すことは幕府にとっても無理な相談だったのだろう。そこさえ譲歩しなければ、あとは面子を保ちつつ首謀者を黙らせて事態収拾という結果になる。
昨今はサムライという言葉が特にスポーツの世界で軽く使われることが多いようだけれど、江戸期のサムライというのは単純に割り切れない、支配者とそれを支える官僚の複雑な集団だったことも読み取れる資料だった。

ゆっくり見学しているうちに昼近くになる。大内宿がここからさほど遠くないところにあるので、そちらへ向けて移動。

来てみると、完全に観光地化されていて、たいへんな賑わい。通りの両側に茅葺民家が並び、土産物を売っていて、どこの繁華街かと思うような繁盛ぶり。混雑の中で全景を撮ろうとすると人の顔が入ってしまうので、少し離れたところから撮影する。
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新旧の茅葺き
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葺きかえも行われているようだ。そのための職人や茅の確保も行われていると、展示資料にはあった。

植樹と水場
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各戸の前面はそれぞれに修景がなされている。

土産物を通り側で売る一方で、その後ろでは蕎麦屋をやっているところが多い。そのうちの一軒に入ってみる。
ほかの店は民芸品や土産の菓子など売っている中で、この店だけは味噌などを売っていて、あまり客が立ち止まらず、空いていてゆっくりできそうだった。
蕎麦と餅を注文する。観光地価格なのかどうか、やや高い感じがした。が、出されたものを食ってみると、これが美味い。
餅はつき立ての柔らかさとほどよい暖かさ、きな粉は新録の森のような淡い緑色が混ざっている。街中で売っている黄色いきな粉しか知らなかったので、店の人に聞いてみたら、手作りとのこと。混ぜもの無しの素のきな粉は、ほんのり甘い。
蕎麦の方は、これも無味ではないが淡い味わい。看板に十割蕎麦つなぎなしとあったが、確かに一番粉と二番粉だけで打ったようだ。一番の特徴は、いくらでも食べられそうな癖の無さ。喉越しがよいとか、味がないとかではない。混ぜもののない素直な味で、腹に溜まる感じがしない。これなら毎日毎食でも食べられる。料理屋の味はたまに食べる味、家庭の味はいつも食べる味、という分け方があるけれど、そのどちらとも違う。
以前、北海道出の人に、その地の海産物の豊かさを自慢されて、食い物が蕎麦しかないなんて悲しいことなんだと言われ、それもそうだと思ってきたが、この蕎麦はそんな考えをあっさり否定してくれた。淡いものは見過ごしがちだけれど、ちゃんと存在しているのだ。そういえば、朝食べたぜんまいも、そういう味だった。

一休みのあとは、通りの裏の生活道路側に廻ってみる。重要伝統的建造物群保存地区とはいえ、住民の生活と両立させるための苦労はあるはずなのだ。
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裏側の茅葺屋根は、本来はおそらく寄棟のはずだが、切妻にして新しい住戸とつないでいる。裏側の住戸は、地面が一層分ほど低いので、RC造の高い土台をつくってその上に載せている。表と裏の住戸の接続部に玄関を設けている。
さきほど蕎麦をいただいた店では、内部は裏側の生活住戸へ向かってスキップフロアのように降りていた。
裏側に十分な空間があるので、こうした対応ができたのだろうか。この土壁風の住戸は、数棟並んで同じ工法デザインでつくられているから、何かの協定があるのかもしれない。

次のキャンプ地へ向けて出発してみると、午後に入って道は大渋滞。何キロも先、国道を乗り換えて別の道に入ってもまだ続いている。最後尾の車は、はたして今日中に観光できるのだろうか。なるほどカーステレオやカーTVに大きな需要があるわけだ。旅の楽しさを少しはき違えているような気もするが。

ここまで北上してきたが、反転して、阿武隈川添いに南下する。全長4300Mあまりの甲子トンネルというのが開通していて、ここを通る。トンネル内は山の冷気。

ほどなく、目的地の”キョロロン村”に到着。隣接する温浴施設”ちゃぽランド”もある。素晴らしいネーミングから予想はしていたが、小さな子供のいる家族連れ向けの施設。山歩き用のトレッキングシューズに裾は泥のチノパンという私はどう見ても場違い。それでもキャンプ場はそれなりに木々の間にあってほっとする。アスファルトだったらどうしようかと思っていた。
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家族向けのキャンプ地によくある木製デッキ。小石や草の根が背中にあたらず快適ということか。実際に利用するのははじめて。ペグは打てそうにない、と思ったらそれらしい穴が開けてある。なんだか馴染まず落ち着かない。

適当に設営して、白河の町を見に行く。途中、追原庵の蕎麦を食べる。ここは以前来た記憶がある。何時どの旅行かは忘れたのだが、建物と蕎麦打ち組合の看板に見覚えがある。蕎麦は、さきほど大内宿で食したものよりやや味が厚いが、やはり美味い。つゆはこちらの方がよい、蕎麦湯を注いで飲んでみても、臭みが全くない。普通に庶民が利用できる値段でこの味は得難い文化だと思った。

白河駅は、新幹線の新白河駅も同様だが、駅周辺に目ぼしいものとてない。中心市街地は少し離れたところにあって、こちらも土曜ということだろうか、ほとんどシャッターが閉まっている。あてがはずれて、コインランドリーに寄って洗濯だけしようと思ったが、1回700円。乾燥機は10分100円という価格でやめておいた。毛布のような大物の利用者に対象を絞っているのだろうか。

蕎麦のおかげですっかり仙人になったような気分なので、ここは俗人に還るべくファミレスで食事。あとは、とっとと宿営地に帰って寝る。


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