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2009.04.11

「レッドクリフ PartⅡ」

何ですかあの小賢しい副題は。宣伝屋風の自己満足はやめて欲しい。作品自体は傑作なだけに、いわゆる面汚し。言いたいことは作品の中でこそ伝えるものであって、作り手は存分にそれを成し遂げたのだから、鼻糞同然の思いつきのような副題を後からなすり付けるなど言語道断。プローション関係者は猛省すべき。以下ベタホメ。


それで改めて書くと、娯楽大作として傑作であります。
原作が三国志演義最大の見せ場である赤壁の戦いなのだから、お話しが面白いのは論を待たないけれど、映画化という点でも素晴らしい。あの連綿と続く大河ドラマのひとこまを、どうやって時間の限られた映画という枠に落とし込むのか、一抹の不安はあって、PartⅠを見た時点では不安は拭えなかったけれど、PartⅡで見事に締めた。

そのために多少話しを作り変えたのは良しとしたい。黄忠将軍の偽りの投降の代わりにあれをもってきたのは、やや作り物的ではあるけど、そうしなければあのクライマックスも無かっただろう。本来の三国志の筋では、敗戦から逃走に移る曹操は、強がりを悉く孔明に打ち砕かれて、まさにホウホウの体で北へ逃げ帰るだけでなく、それによって、孔明の意図する天下三分の均衡は保たれるのだけど、それでは映画としての最後が締まらない。その点、今回作り手が見せた筋書きは、やや陳腐ではあっても娯楽としてはむしろ受け入れられやすい。

映像的にも、さすが。美しくあるべきところは限りなく美しく。むさ苦しくあるべきところは臭うほどむさく。妖しかるべきところは演出たっぷりに妖しく。爆発すべきところは文字通り大爆発。めりはりの効いた映像美をぶっ通しで堪能できる。ところどころリアリティを完全に無視した武闘シーンは、中国雑技団的センスからすればむしろ当然。

この映画を見ていて改めて、赤壁の戦いというのは、勃興する近代的工業的中央集権的国家の拡張を、土俗的家内製手工業的封建的国家の集合体と、なんだかよくわからない的流浪の集団とが結託して(監督の言によれば、団結して)、からくも奇跡的に跳ね返した、というお話しなのだということが、よく感じ取れた。登場人物たちの考え方、行動や科白に、そのバックボーンが繰り返し色濃く反映されていて、それが映画に深みを与える結果にもなっていた。お話しづくりの手法が巧みであるだけでなく、三国志演義の長い物語が背後に持っている大きな絵柄を、作り手がしっかり受け止めて、映画の形に結晶させている点がうれしい。

それはたとえば、両軍の性質の違いの描き分けなどに現れる。決選前の士気高揚の場面。曹操軍は、カリスマ曹操ただ一人の見事な演説によって名もない雑兵達が奮い立つ。一方、連合軍は、将たちの総司令官への信頼を手作り団子に託すといういかにもシャイな意志表示によって結束を固める。こういった描き込みが実に巧み。

いやー映画って、ほんっとにいいですね。
と観た後に言いたくなる、傑作。

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Tracked on 2009.04.11 at 10:52 PM

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