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2009.03.08

「ダウト」

少ない登場人物の間での言葉の激しいやりとりが見所の、演劇的な映画。カソリックの学校の内部も自然に描かれていて興味深い。転任してきたやや世俗的な神父と、厳格な校長との確執がお話しの軸。神父の不行跡を糾そうとする校長をみていると、まるで刑事コロンボのよう。お話しを楽しむにはこの見方で十分なのだが、最後のシーンで予期しない真摯なものに直面して粛然とする。以下ネタバレ。


夫を戦争で亡くして修道女になった校長に、厳格で時代遅れのような第一印象を与えておきながら、所々で、その人間味を感じさせるエピソードをちりばめているあたりが、にくい演出。「悪を打ち負かすためには神から一歩遠ざかることも必要」として敢然と自分の方針を信じ抜く校長の姿勢が爽快。

その校長が、生徒の母親の抱える複雑な事情を察して下した決断は、この人物の奥行きを感じさせる。

その際、敵対する神父を、表面上は穏やかに退かせるために採った方法は、コロンボであれば、首を振りため息をついて済ませるところだが、この初老の修道女の反応は違った。そのシーンに、この作品のタイトルに込められた思いを読み取ることができる。

キリスト教はおろか、宗教全般から縁遠い生活を送っている不信心な私は、こうした罪の意識に、思わず襟を正す気分にさせられた。それは、「偽悪」のようなソフィスティケートされたものとは全く違う、本物の原罪意識なのかもしれない。


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     ★★★☆☆  John Patrick Shanley監督が トニー賞とピュリッツァー賞に輝く自身の舞台劇を映画化。 原題は「Doubt」。        1964年、ニューヨーク・ブロンクスのカトリック学校。 校長のシスターAloysius Beauvier (Meryl Streep )は 厳格な指導方針で学校を運営していた。 一方、同校のBrendan Flynn 神父(Philip Seymour Hoffman )は、 民主的な指導で子どもたちの人望が厚かった。 ある日、シスター... [Read More]

Tracked on 2009.03.09 07:53 AM

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