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2009.02.14

「少年メリケンサック」

宮崎あおいは声がとりわけ良い。豊かな表情が感じられる。後から充てているのもあるかもしれないが。その声を生かして、大奥で床の間を背に「なんじゃど!」などドスを利かせていた裏で、こんな面白い映画に同時進行で主演していたとは。笑いを主体にほろりが少々。中年4人と乙女一匹電話の向こうの彼氏一人で送る爆笑コメディ。観て決して損はしないこと請け合い。以下ネタバレ。


乙女一匹という表現が実にぴったりくる宮崎あおいの大車輪の活動が、この映画の柱。未来に夢も希望もないけど、かといって特に絶望しているようでもない中年4人のゆるさがこの映画の土台。そして遠くから電話で愛を囁く彼氏の軟弱さが、この映画の彩り。

中年どもと容赦なくやりあう強面の宮崎と、彼氏の電話にめろめろの作り声で話すぶりっこの宮崎とのギャップが、前半の笑いの元。やがて当然ながら、その二面性は交錯して崩壊する。多少シリアスが入るのが、ちょうどよい一服感。

パンクというと、よくは知らないが、若者の怒りに満ちたパワーが売りだろう。けれどもこの映画では、若者の代わりに中年を嵌め込んでいる。緩みきって生きているように見える中年にも、実は様々な悲哀と怒りの歴史がある。それを見せるために、回想を多く取り入れて、メンバーの個人史を感じさせていくのだが、その組み立て方がうまい。パンクという言葉から連想される力任せで粗削りなイメージを完全に裏切って、センスの良さを感じさせる。このセンスの良さは随所に現れていて、基本的にどたばた劇にもかかわらず、後味がよい。

このセンスは、エンディングで流れる曲にも表れている。何が流れるのかは、観てのお楽しみ。この曲にじんとくる人にとっては、最後でいきなり作品の深みが増す、にくい選曲でした。


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