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2008.11.03

「ブーリン家の姉妹」

ヘンリー8世という王様は、(wikipediaによれば)インテリでスポーツにも優れて音楽も解する、才能ある王様だったらしい。その一方で、6回結婚をしたという記録もあるそうな。謀略を使って后をとっかえひっかえした(うち2人は無実の罪を着せて処刑!)悪役というイメージを私は持っていたけれど、この映画では、世継ぎに恵まれず苦悩する若い王様、というイメージで描かれている。
考えてみると、当時カトリック教会は離婚を認めておらず、一方、庶子は世継ぎとしては認めないしきたりが根強い中で、正式の妻である最初の后は死産や流産が続き王家存続の危機、という状態では、同情せざるを得ないのだった。

映画はそうした背景には深くは触れず、6人の妻のうちの2人目、アン・ブーリンを中心として、歴史には登場しない彼女の妹との対比を描く人間ドラマが中心。おまけとして、チューダー朝時代風の建築や衣装なども楽しめる触れ込み。以下ネタバレ。

もちろん、ブーリン家の姉妹に焦点を当てているのだから、そちらをみるべきなのだけれど、それにしても王様という職業はたいへんだ。ヘンリー8世の結婚歴を見ると、とにかく男の世継ぎを、という切々とした気持ちにつまされる。もっとも、后の選び方は本人の好みだったというから、同情も半分ではあるけど。

しかしこの王様の凄いところは、できちゃった略奪婚を狙うアン・ブーリンを后にするために、なんと法王と喧嘩別れしてしまうあたり。欧州大陸の王様から見れば危なっかしいというか、ちょっと真似の出来ない果断さだ。アンの魅力に惑わされたことに映画の中ではなっているけれど、上のような背景を考えてみれば、この王様はヨーロッパ世界の情勢をよく見て判断したのだろう。実際、彼の父王の時代から、帝国、というか絶対君主への動きは続いているわけだから。

このヘンリー8世のお陰で、イングランドはこの後、欧州諸国とは少し違う歴史を歩むことになるのだけれど、それを引き起こしたのがアン・ブーリンということで、案外この女性も侮れない策士なのかもしれない。

人間ドラマとして見ることはもちろん可能だけれど、私はむしろ、時代背景の方に目がいきました。

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