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2008.09.20

「フロンティア」

これを見て、私は「八つ墓村」を思い出した。「八つ墓・・」は古い因習が残る地に迷い込んだ近代人が遭遇する不条理と恐怖を描いていたと思ったが、この映画は因習の代わりに「ナチス」の亡霊を配して、迷い込んだ現代フランス人に襲い掛かる不条理と恐怖と、そして死を、描く。
た゛~た゛~り゛~ぢ~ゃ゛~。総統様のた゛~た゛~り゛~なのぢゃ~。以下ネタバレ。

もちろん、そこは肉食人種(笑)のお話しだから、陰湿というよりはむしろスプラッタ。血をどばどば浴びながら、主人公の女性ヤスミンが徐々に変質していくように思えるのが・・恐ろしいのか頼もしいのか。

映画の前半は準備段階で少々退屈だが、後半に入ると加速がすごい。ヤスミンが変貌していくのはこの部分。

気が狂う方向に変わるのではなく、敵に対して容赦ない過酷な獣になっていくような。それも、気丈な中に過酷さを身に付けるのではなくて、病的な感じの過酷さに染まっていく感じがする。

それにしても、ヤスミンを演じるカリーナ・テスタという人は凄い。精神の平衡を失って体が小刻みに痙攣するあの感じは本物。これを演じようとしてうまくいってない映像はこれまでずいぶんあったので、この女優さんの演技がいかに凄いかは、見ればすぐにわかる。

最期のシーン。ひとり生き残ったヤスミンは、国境で警察に制止されて、車を降り両手を挙げて、やはり体を小刻みに揺すりながら、とぼとぼと歩いて投降するのだけど、制服を着て銃を構えた5人の警官がひどく頼りなく見える。圧倒的に有利なはずの男の警官達だが、観客の方はそれまでのヤスミンの闘いと変貌を見ているので、そう思えるのだ。どうやら、極右の亡霊は、戦後60年を経て復活した孫とも言うべき極右政権に、とんでもない置き土産をしてしまったらしい。制服なんか着込んで安心しきっているお前らには、こいつを止められないだろう。

と思わせるのが、作り手の意図かもしれない。私にはそう見えました。

たまにB級のゲテモノでも観ようかという軽い気持ちで行ってみたら、なんだか全然違う凄いものを見せられた気がします。

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