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2008.09.26

「おろち」

原作は楳図かずおの漫画だそうだけど、読んだことはない。そのおかげで鳥肌が立つような恐怖を味わえた。「ぐわしっ」くらいしか知らなかったが、さすが紅白のお家を建ててしまうだけのことはある。怖がらせるための映像効果はほとんど使っていないのに、ストーリーだけで恐怖を感じさせる優れもの。できれば何も読まずに観にいくのが吉。以下ネタバレ。

おおかたの評は、あるいは、美しさに対する女の執念という捉え方をするのかもしれない。私はもう少し広く、運命に対する人の足掻きと受け止めたい。それも、この家系の女に等しく課せられた運命と、母から課せられた芸の伝承という宿命、二重の頚木に向き合わなければならなかった者の、悲しい足掻きだ。これは、例えば末期癌の患者と周囲の人々の絶望的な闘病生活に通じるところがある。そう思ってみると、恐怖よりもむしろ深い悲しみの方が強く感じられる。

などと冷静に観ていたら、最後の最後にとんでもない展開が。

ここまででも十分悲しくて恐ろしいのに、まだ先がある。どこまで連れて行ってくれるのか。鳥肌が立ったのはこの展開の部分。人間て恐ろしい。


ところで、そうはいっても観客はこのお話しを、ある種ヒトゴトとして見ている。他人の不幸、ましてや架空のお話しであれば、それは格好の娯楽(と感想文(笑))のネタだ。しかし、そう安心していられるのだろうか。癌のように単発のものとして現れるのであれば、対処はできる。いずれにしろ人は死ぬものだから、それに対する心構えを普段から培うことは不可能ではない。

しかし仮に、しきりに噂されては消える新型インフルエンザの話しが、もし現実のものになったら、私たちはどういう行動をとるのだろうか。個々の人の死ではなく、ひとつの地域のまだらな死、につながるかもしれない災厄を、私達は、それも運命として受け入れることができるだろうか。

話しの筋からはやや飛躍するけれど、そんなことを考えているうちに映画は終わった。
原作を知らない私にとって、なかなか価値のある一本でした。

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