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2008.08.12

信州高原行080812

鶯の声とともに目覚めて出発。今日は一転して上田、小諸を回って八ヶ岳方面へぐるりと戻っていくことにする。

上田ではまず上田城址を見る。合理性を感じさせる縄張り。徳川の大軍を2度に渡って退けたのは、城郭だけでなく市街地や周辺地形の活用に長けた真田の戦術によるものらしいけれど、それ以上におそらく、この城の配置に見るような合理性の勝利だったのかもしれない。

城址の次は北国街道の町並みが残る柳町を見る。庇の先端が180cmほどで揃った町家の並びがある。ところどころ、うだつを上げている家屋もあってリズム感が出ている。残念ながら、見られるのは道の片側だけで、反対側は殺風景な駐車場などに変わってしまっている。そちらの街区は大通りに面した大きな区割りで、必然的に、旧街道側はオフィスビルなどのメンテナンス道路になってしまう点が、この町並みの構造的な課題だろう。もう1本、保守道路を通してしまえば一気に解決するのだが、私有財産に対する保障など難しい。町並みを残すなら徹底してやるのがよいけれど、財政的な問題もあり、というところだろうか。

町並みが保存されている側でも、車との共存は頭の痛い問題だ。町屋の中には、土間に車を入れている家もあるけれど、内部の居住環境はよいとは言えないだろう。かといって、街道と反対側の裏手は川になっており、そちら側を車の出入りに使うことも出来ない。現代の生活と歴史的町並み保存との、難しい葛藤が表れている。

旧街道をぶらついていると、朝の散歩だろうか、土地の年配者が挨拶をしてきたので、返す。よそ者でも、町に入ってきた者には声を掛ける習慣が残っているのは、ひとつの救いか。

上田を離れて、一路小諸へ。あっという間に懐古園に着く。ここもまだ朝早いので、入園は本来有料だが、無料で入れてもらう。

こちらも城址なのだが、上田城の合理性に対して、むしろ和風の情緒のようなものを感じる。曲がりくねった深い谷で地形を制約され、千曲川に面する崖に沿って築かれており、防衛能力より、むしろ景観に目がいく。城下町よりも低い位置に築かれた城という点でも珍しいそうな。これは千曲川の谷を自然の防壁として活用しようとしたためか。


時計を見ると、まだ10時前。次の目的地は漠然と本沢温泉なのだが、この分だと今日中に回れてしまうかもしれない。国道を一路南へ走る。

松原湖に到着。歩いて一周してみる。なんとなく人造湖かと思っていたが、もちろん自然にできた湖。釣り人が多い。立て札の解説を読むと、このあたりは冬の降雪が少なく気温は低いので、湖が底まで凍るため、スケートが盛んだったらしい。小規模な御神渡りもあったそうな。本家同様、最近の温暖化でそれも見られなくなっていくのだろうか。


さて、いよいよ本日のメーンエベント、本沢温泉だが、これは標高2150mにある日本最高所の露天風呂。八ヶ岳登山者が宿泊できる山小屋でもあるらしい。そこへ行くには、まず下の稲子湯に車を停めて、1時間ほど山道を登る必要があるという。

標識に従って稲子湯を目指すが、途中で本沢温泉行きに分かれる標識を発見。秘湯という割りには、案内がきちんとしている。稲子湯には寄らずに真っ直ぐ本沢温泉を目指す。

山道の入り口に小さな駐車場があり、車とバイクなど数台停まっている。4WD車用の駐車場がさらに上にあるとの表示があり、ギアを落としつつ荒れた細い道を登っていく。途中辺りにもうひとつ駐車スペースがあり、4WD以外は決してこの先に行ってはならぬとの警告の立て札。オフロードバイク乗りとしてはわくわくしつつさらに進む。

なるほど、ここからはかなりの荒れ具合と急傾斜。こういう道は、雨が降ると急流になるので、川底にあるような荒れた石がごろごろしている。車の通行も少ないので、轍も踏み固められておらず、急流が掘り込んだ不規則な筋が走っていて、走行ラインが一定しない。

ほとんどセカンドギア、つづら折れのターンではローに入れて粘り強く登る。オフロードバイクはシートが高いので、足を着くと却って不安定になる。ステップの上に立って腰を浮かすようにしながら、浮石をかわしつつリズムを保って走る。
面白いんだこれが。オフロードをなかなか止められない理由がこれ。(笑)

ようやく一番上の駐車スペースに到着。他には、地元の軽四駆と50ccの小さなバイクが2台ほど。なるほど、重いオンロードやアメリカンには無理でも、小さくて軽いバイクならここまで登ってこれるわけだ。

さて、エンジンを止めて樹林の合間から空を見上げると、はかばかしくない空模様。重い荷はバイクの荷台の箱に移し、雨具をリュックサックに入れて、歩き始める。


昼なお暗い、という言葉がぴったりの森の中を、黙々と歩く。雨粒が落ちてくる音がするが、森が上の方で受け止めてくれるので、雨具を着る必要はない。最初の20分はきつめの傾斜。汗だくになって登る。それを過ぎると緩い道。渓流を渡ったり、盛大に引っくり返った倒木を眺めたり、一面に苔の絨毯で覆われた広場を通り過ぎたり、ほぼ90度の谷を覗き込んだりしながら行く。道は意外に整備されており、土砂崩れの跡は、鉄骨の骨組みに幅広の板を敷き詰めた小さな橋で補修されたりしている。ここを通る登山者は案外多いのかもしれない。
小雨は降り続いており、この分だと雨の中で露天風呂につかることになりそう。それもまたよし。

1時間ほどで目指す山小屋に到着。玄関で案内を請う。
露天の外風呂と、山小屋内の内風呂があり、泉質が異なるとのこと。まずは露天風呂の券を買う。

このやりとりの間に、あら不思議。雨雲が突然切れて強い日差しが落ちてきた。先ほどまでとは一転して、露天風呂に浸かるには絶好の天気に。大急ぎで外風呂に向かう。山小屋のすぐ近くかと思いきや、ここからさらに数十Mの登り。知らずに早足で行ってバテる。上がっていくと、荒々しい谷川を見下ろす斜面の上に出る。硫黄が露出したいかにもな斜面だ。そこから谷に向けて道とも言えないつづら折れを降りていったところに、湯をたたえた浴槽が見える。一人しかいない山小屋の宿泊客の先ほどの話では、今日は朝から雨で、湯に浸かりにいきそびれていたそうだから、本日一番乗りかも。

斜面を下り、適当に脱ぎ散らかして、白濁した湯にそろりとつかる。最高の瞬間。
見上げれば、上の方は樹林に覆われ雨雲に霞む山頂があり、見下ろせば土砂が露出した谷川が下っていく。中間のここだけ、雲が切れて陽射しが降り注いでいる。一体どういう吹き回しで山の神様に気に入られたのか、ありがたいことだ。

剥き出しの硫黄泉なので、浴槽近辺は緑豊かとは言えないが、開放感は抜群。登り道の疲れもあっさりほぐれていく。

ここの湯は、渓流の水などで薄めていない。斜面の岩肌から湧き出す湯をただ貯めているだけなので、泉質が濃い。それでいて湯温は快適。熱めが好きな私にも丁度よい。北海道にも野趣溢れる露天温泉がたくさんあったけど、熱すぎて川の水で薄めているものが多かった。その点、何も手を加えなくても丁度よい湯加減というのは珍しい。

しばらく、時間が経つのを忘れたが、疲れがあっさりとれたので、小高い場所に上がって持参した握り飯で昼食をとる。こういうときペットボトルの水は便利。手拭いに垂らして手を拭くことも出来、もちろん飲用にもできる。

体が温まって腹も満たされたので、山小屋へ戻る。せっかくなので内湯にも入っていくことに。こちらも何も手を加えずに適温の湯。二酸化炭素泉だが多少硫黄分も入っているようだ。秩父から来たという年配の人とあれこれ話しながら、多少のぼせるまで温まる。


予想以上のよい温泉で、堪能した。
満足にひたりながらゆるゆると下山。下りはさすがに楽だ。あっというまにバイクを置いてきた中間地点まで降り、あとは軽めのギアで逆落としに駆け下っていく。途中、外湯で一緒になったバイク乗りの一行や、内湯で話しがはずんだ年配者夫婦など追い抜く。荒れた道を走ると石を弾くことがあるので、登山者に行き会ったときは最徐行が鉄則。こぶし大の石が歩行者の脛を強打、なんてことになったら洒落にもならない。


舗装路までくだってきたら、あとは今日の宿を探すだけだ。蓼科の方へ走って、別荘地の近くのキャンプ場を目指す。別荘地近くの洒落た店に地理を聞こうと立ち寄ってみると、付近の別荘のオーナー風の客が多い。気のせいだとは思うけど、とげとげしい表情の人が多くて滅入る。彼らはあの顔が表しているような人生を送ってきて、これからもそれで通すのだろう。それもまた人生か。
むしろ、彼らの目から見れば、きたない服で泥だらけの単車を操って旅しているこちらの方がよほど不幸に見えるのかもしれない。街中では確かにそう見えることは否定しない(笑)。でも山の中に来るとね。
また違う見え方もありそうだ。


テントを設営した後は蕎麦屋で食事などして、明日以降のことを考える。本沢温泉でたいへん満足したので、今回はこれでおしまいにしようかという気分。諏訪湖の花火は心残りだけど、来年のお楽しみということでもいいか。

夜も暗くなってキャンプ場に戻り、またまた夢も見ずに眠る。
今回、星空には恵まれなかったが、その代わりよく眠れた。


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