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2008.08.11

信州高原行080811

朝、すっきり目覚める。やはり涼しいとよく眠れる。
枕はなかなか具合がよかった。狭い一人用テントの中で胡坐をかいて荷物の整理をするときも、尻の下にしくと背筋が伸びてよい。これはいい買い物をした。あとは壊れずに長持ちしてくれれば言うことなし。

このあたりは、ハングライダーなどのサマースポーツも盛んらしい。それで何日か過ごすのもオサレだけど、またいずれ。テントを畳んで次の目的地美ヶ原へ向けて出発。しばらく行くと、八島湿原というところを通り掛かる。朝早いこともあって駐車場はがらがら。人のいない湿原を歩ける機会を逃すことはない。バイクを止めて、一周80分程度のハイキングコースへ出発。

最初に、コンクリート製の短いトンネルを通って、俗界の汚れを落とす儀式。なかなかうまい導入。ちなみに、外来の種子を持ち込まないように、靴の泥をよく落とせとの掲示。ここは国の天然記念物の由。昔からの生態系を保存するにはそれなりの苦労がありそう。

トンネルを抜けると高台の小広場。湿原の全体が見渡せる。この遊歩道を設計した人は演出のセンスがよい。気分はたちまち秘境ムードである。斜面を降りていくと、尾瀬にあるような渡り板の道がつくられている。左回りで出発。

歩いていくと、カメラと三脚を担いだ人に時折出会う。山歩きとカメラは結構縁が深そう。小さな高山植物の花を撮るもよし、遠く霞む山の稜線を撮るもまたよし。鳥や蝶の舞う姿を鮮やかに切り取れれば最高の気分だろう。歩くことが適度な運動にもなって、一定以上の年齢層には人気がありそう。時折、湿原に踏み込み過ぎる人が居るけど、そこは大人らしく自制してほしい。

半周ほど行ったところで道が分かれている。車山へ向かうコースへの分岐の標識。途中の物見岩というところまで往復してみることにする。湿原から離れて、山の道へ。

途中までは鼻歌気分だったのだけど、だんだん登りがきつくなる。おまけに、笹が道をほとんど覆い尽くしていて、道が途切れているように見えるところが何箇所かある。めげずに笹をわしわしと掻き分けていくと、何事もなかったようにまた細い山道が続く。こういう試しは秘境に至る道の常(笑)。おかげで腿から下は葉に溜まった朝露でびっしょり。

30分ほど登ると目立つ岩が見えてくる。そこまで上がり切ると、その先は緩い起伏の草原で、下の湿原とはまるで別世界。アルプスの少女ハイジの世界である。見上げる丘の向こうからいまにもペーターが羊の群れを追いながら現れてきそう。ん? 今、ガランゴロン鈴の音が聞こえなかった?
しばらく、風と雲と陽光と草のそよぎに浸る。

名残惜しいが再び出立。来た道を戻る。先程の分岐点から、湿原巡りを再開。木道の片側は湿原だが、反対側の登り斜面は涼しそうな樺の木立になっているところなどもあって、改めて水辺の賑やかさ、多様性に酔う。さきほど登ってきた丘の上は、これに比べるとシンプル。草木の種類も少なく、代わりに、陽射しと風が際立つ感じがする。どちらも甲乙付けがたい。

出発点まで戻ってみると、駐車場はうって変わってごった返している。入りきれない車が道路に列を作って順番待ち。こうなってしまうと俗界となんら変わりがない。丁度よい時間帯に往復できた。


改めて、美ヶ原を目指す。快適なワインディングロードを走って美ヶ原高原美術館に到着。ここへ来るのは3度目。この前訪れたときからかなり年数が経っている。

屋外彫刻の展示を歩いてみて、以前の印象とがらりと違うのに驚いた。展示そのものにさほどの変化はない。変わったのはこちらの側だ。
感受性が磨耗したのかどうか、個々の作品から受ける印象の薄さに驚く。思えばこの数年、CGが凄まじく発達して安価に使われるようになったことで、それと知らずに物凄いものを日常的に見続けてきているのだった。静止した彫刻が変幻自在のCGに対抗できる点は、もはや作品の質感くらいしか残っていないのではないか。実際、抽象的で観念的な作品は著しく色褪せたような気がする。こうした方向性のものは、例えばゲーム性の取り込みなどへ向かうのだろうか。対して重量感のあるものは、まだ見られる。アートの世界も随分変わっているのかもしれない。

評論家気取りで散策したあとは、別所温泉へ。途中、県道が土砂崩れで通行禁止になっており、林道を使って迂回。オフロードバイクの真価を発揮。適度なダートを楽しむ。標高はかなり下がってきて、もはや高原の清涼感はなく、蒸し暑い空気に迎えられつつ温泉地に到着。適当な場所に設営して早速街巡りへ。

丸窓列車が個性的な上田電鉄別所線の終着駅、別所温泉駅の観光案内所で、街の見所を教えてもらう。「信州の鎌倉」と呼ばれるように、3つあるお寺が定番コースとのこと。暑い日差しの中を歩いて巡る。いずれも由緒ある古刹だが、中でも、安楽時の八角三重塔(国宝)は一見の価値がある。解説によれば、純粋な禅宗様の建築だそうだが、学問的な価値はもちろんのこと、扇垂木で作られた3重の屋根と一番下の裳階(もこし)がつくるリズムがたいへん美しい。その上、四角ではなく八角の平面となっているので、塔としての性格がより強く出て、信仰の対象としての仏舎利塔の純粋な姿を感じることができる。
この地は温泉として知られているそうだけど、この塔を見ることができたのが私にとっては一番の収穫だった。

すっかり満足したので、繁華街に戻って食事。あいにく定休日の店が多くて残念。くるみのつけ汁で食べる蕎麦の店も、今日はお休み。町から離れた場所の少し高そうな蕎麦屋は、今日打った蕎麦がおしまいになったとのことで、ありつけなかった。

途中、道を横切る狸に出会った。スレンダーで毛並みもよく、いい食事をして適度に運動し、健康的な生活をしているらしいことが窺えた。地元のおばさんに話しを聞いた感じでは、狸は結構人にかわいがられているらしい。小さな生き物達に幸ありますように。

夜は上田市街までバイクを飛ばしてコインランドリーで洗濯。
昼とはうってかわって夜は涼しい。戻ってぐっすり眠る。

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