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2008.03.01

「ジャンパー」

この作品は、「ジャンプ」するときの映像的な面白さと、自在な場面切り替えを楽しむ映画。だから上映時間も短めで、お話しもシンプルになっている。そのつもりで観にいったのでたいへん満足できた。以下ネタバレ。


透明な氷にできるわずかな歪みのような、空間の裂け目の表現がなかなかいい。追跡者がそれを発見するときの方法も視覚的に面白い。ジャンプ先と元が微妙につながっていて、例えば向こうの炎がこちらに延焼したりなど、ジャンプという小道具をうまく使ってアクションを盛り上げている。

その小道具ならではの場面切り替えも楽しい。雨のロンドン塔の天辺、常夏のビーチ、スフィンクスの頂上、氷の海、渋谷ハチ公、銀座八丁目のベンツのショールームなどなどが惜しげもなく切り替わる。過去の映画の名場面をたぶん模したようなものから、配給先の国の観客の歓心を買うためと思われるものまで、材料は幅広い。

はじめのうちは、ジャンプに多少の理由があって、観るほうも場面の切り替えについていきやすいのだけど、ジャンパーどうしの追いかけっことなると、脈絡抜きで相当な速さで切り替わっていくので、普通のアクション映画に数倍するはらはら感がある。ジャンプというアイデアを映像的に最大限に生かしきったと言っていい。

お話しの方はかなり安っぽいつくりだが、それは付け足しだから気にする必要はない。銀行の金庫に落ちていた多少の紙幣を拾ったからといって、何か悪いことでも? といったライトな感覚は、空気に縛られて身動きできない日本人の作り手には望めない小気味良ささえある。この作品で、額に汗する労働の尊さとか、人の道を踏み外した者が受ける仏罰とか持ち出しても、それはお門違いというものだろう。

というわけで、幼馴染に妙な執着を覚える主人公に多少の哀れみと共感を覚えつつ、映像をひたすら楽しめた、映画らしいといえば映画らしい一本でした。


そうそう、これを「テレポート」と呼ばずに「ジャンプ」と呼んだセンスは、優れて今日的だ。Webの観光案内を検索しながら、われわれも日常的に「ジャンプ」しますよね(笑)。

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